25「サムと作られた少年です」
「――悪趣味なことしやがって!」
命じられた訳ではないが、少年少女はそれぞれサムたちに対しひとりずつ襲いかかってきた。
「子供たちひとりに人間を百人ほど詰め込んでいますので、百人を相手にしていると思ってくださいね」
「ふざけんな! 命を弄びやがって!」
「ふふふ、私にとって人間の魂など利用できる道具でしかありません」
「――っ」
嘆きのヘルミーナとの会話は意味がないとサムは判断し、目の前の少年に集中することにした。
まだ十歳ほどだろう。
全身が白く、来ているものもボロ布だ。
お世辞にも彼らの扱いは良いものではない。そもそも生まれから、歪んでいるのだ。
「話は通じるか?」
殴りかかってきた少年の拳を受け止め、会話を試みる。
しかし、返事の代わりにもう片方の拳が飛んでくる。
「――ごめんな」
サムは少年の拳を肘で砕いた。
一瞬、少年が驚いた顔をしたが、気にせず砕けた拳を振るってくる。
握りしめていた拳を潰し、少年の腹を蹴る。
拳を潰しながらも離していなかったので少年は足を浮かせるが、サムから離れることができない。
サムはそのまま少年を引き寄せると、拳で鼻を潰した。
拳に伝わる不快な感触から、顔の骨が砕けたことがわかる。
「うるるぅうぁあああああああああああああああ!」
少年が吠えた。
この少年は、どれだけ殴られ蹴られても血を流さない。
少し違う。血が流れないのだ。
おそらく嘆きのヘルミーナが作った存在ではあるが、生き物のようで生き物ではないのかもしれない。
今更ながらに、少年が呼吸さえしていないことに気づいた。
「うらぁっ、うるるるるっあっ、うらぁあああああああああああああああ!」
少年の魔力が跳ね上がった。
サムよりも魔力が上だった。
少年は魔力を潰れた右手に集めていく。
「うううううううううううううううううううううっ!」
言葉も喋れず、血も流せず、呼吸すらできない哀れな少年は肉体再生能力もなく痛ましい肉体に魔力を流し、サムに襲いかかった。
数え切れない魔力の刃がサムを襲う。ひとつひとつの刃が、当たれば致命傷になる力が込められていた。
刃の背後から、少年が潰れた拳を突き出してくる。
(――残念だ。きっとちゃんと戦いを学べば俺よりも強かったはずなのに)
魔力量はサムを上回るが、彼の刃は甘い。
ただ刃になっているだけであり、相手を「斬る」意思が弱い。
そんな刃にサムが負けるはずがなかった。
「いつかどこかで、もっと全力でもっと楽しんで戦おうな。――全てを斬り裂く者」
サムの一振りによって、真っ白な少年は脳天から股までを唐竹割りにされ、左右の別れ地面に倒れる良いも早く――絶命した。




