22「魔法少女の力です」
「ゾーイちゃん! 今のあなたは魔法少女ブループリティーよ!」
「ふざけるなぁあああああああああああああああ! 戻せ! 戻してくれ! 戻してください、お願いします!」
「――無理よ!」
急に魔法少女になってしまったゾーイが、元に戻してと懇願するが、キャサリンは無慈悲に一蹴した。
「くそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「もうっ、女の子がそんなこと言っちゃダメよ!」
「お前のせいだろうっ! そもそもどういう仕組みだ! どうしてステッキで防御しただけで魔法少女になってしまったんだ!」
「それはね、――ゾーイちゃんの魂が魔法少女だからよっ!」
「いやぁああああああああああああああああああっ!」
ゾーイは顔を覆って泣いた。
もちろん、このようなスカイ王国の日常など知らない人型の異形は、今がチャンスであるとばかりにゾーイに襲いかかってくる。
「ごろずぅううううううううううううううう!」
「ゾーイちゃん! 今のあなたなら私を超える魔法少女の力を出せるわ! ううん、きっと初代様をも超える、最高の魔法少女に!」
「誰がそんなもんになりたいと思うかぁあああああああああああああああああああ!」
ゾーイが絶叫した時に、背中から青い羽が広がった。
衣装にリボンが増え、髪も髪飾りでツインテールになっている。
そして、ステッキは大剣となった。
「――だから! なんだ! これはっ!」
「嗚呼、まさか初代様が残した伝説の魔法少女にゾーイちゃんが」
「そんな馬鹿な!?」
ゾーイは自分の姿が変わり果ててしまったことに涙を流した。
しかし、戦わなければならないことは理解している。
ゾーイの中で「ぷつん」と何かが切れた。
「――――もういい、こうなったら、ヤケクソだぁああああああああああああああ!」
異形が両腕を伸ばしてゾーイを掴まんとする。
しかし、青い大剣が軽々と振るわれると、異形の腕が肘の下から切断された。
何が起きたのか理解できず、自身の腕の切断面を異形は何度も見ている。
その止まった動きは、ゾーイにとって絶好の好機だった。
「――ゾーイちゃん! 今こそ、魔法少女の必殺技! プリティーラブラブスラッシュよ!」
「ゾーイ! いくのだ! 今こそ、魔法少女として輝くのである!」
「お前らあとで絶対に覚えておけよ!」
ゾーイが涙を流しながら大剣を握る力を強くした。
魔力が淡い青色となって大剣を渦巻く。
謎すぎる現象をゾーイはもう気にしないことにした。
「いくのよ、ゾーイちゃん!」
「いくのである、ゾーイ!」
奥歯を噛み締めて、全力でゾーイは大剣を薙いだ。
「――プリティーラブラブスラッシュぅううううううううううううう!」
異形の硬い皮膚を難なく断ち切り、上半身と下半身を斬り絶った。
斬り飛ばされた異形は大きく飛ぶと、地面に直撃すると同時に――大爆発した。
「だからなんでだぁああああああああああああああああああ!」
ゾーイは、自身の叫びが木霊するスカイ王国王宮で、クライド・アイル・スカイを狙った異形を見事倒したのだ。




