21「ゾーイと異形です」③
「あぁあああああああああああああああああああああああああっ!」
人型の異形が咆哮を上げた。
びりびりと空気が震える。
あまりにも大きな声だったので、耳が痛くなった。
「――ころす」
「会話ができるようになったのか?」
「ころ、す。ころ、ころころ、ころ、す」
「ただ言葉を口から垂れ流すだけか」
ゾーイは双剣を構え最速の移動をし、異形に肉薄する。
双剣が振るわれると、身体中が斬られ鮮血が舞う。
「――ちっ、先ほどよりも硬いな」
「ゾーイちゃん!」
再び攻撃に移ろうとしたゾーイにキャサリンが叫んだ。
思わず動きを止めてしまう。
「な、なんだ?」
「剣が折れているわ!」
「――なに?」
ゾーイは愛剣が折れていることを確認し、驚いた。
何度も振るってきた剣がいつ折れたのかわからなかった。
それ以上に、先ほどは容易く斬れた異形が明らかに固くなっていることを理解した。
「さてと、得物がなくなったがどうするか。折れた剣でも戦える自信はあるが、未知数の相手に冒険するのも難しいか」
日々、手入れを怠ったことのない愛剣が折れるという事態に、ゾーイは心の中でどうするべきか悩む。
徒手空拳もできるが、あまり触れていい敵とは思わない。
折れた剣を酷使することも気が進まない。
(使いたくはなかったが、聖女としての力を使うべきか)
「ゾーイちゃん、これを使ってちょうだい!」
「――うん?」
キャサリンが何かを投げてきたので受け取り、ゾーイは顔を青くした。
――ゾーイの手にあったのは、「魔法少女のステッキ」だ。
「ふざけるなぁああああああああああああああああ!」
しかも、これはキャサリンがゾーイにようにと作ったステッキである。
何度か変身させられてしまったが、もう嫌だと泣きながらステッキを変換したのだが、まさかこのような重要な戦いの最中に再び手に戻ってくるとは思わなかった。
「ころ、ころころ、ころすころ、す、ころすころす」
異形はゾーイをずっと眺めている。
「ころす」と言い続けているが意味はわからずに。
そんな異形の変化が起きた。
「ごろずぅううううううううううううううううううううう!」
異形が大きく口を開けた。
耳の下まで裂けた口から、魔力を圧縮した魔力砲が放たれた。
速く、そして凄まじい力が込められている。
ゾーイは反射的に、手に持っていたステッキで受け止めた。
「くっ、うらぁああああああああああああああああああ!」
叫び、魔力砲をステッキで消し飛ばすことに成功したゾーイの姿は、青い魔法少女の衣装に身を包んだ「スカイ王国魔法少女戦隊ブループリティー」に変身していた。
「――なんじゃこりゃぁあああああああああああああああああ!?」




