16「白の異形です」①
「なんだ、これは? 生きている、ようだが。こんなモンスター見たことない。そもそもこれをモンスターと呼んでいいのか?」
目の前の異形にゾーイが困惑する。
きぃ、ぎぃ、と鳴く触手の化け物はすべてが真っ白だった。
それだけならばモンスターの特殊変異ではないかと自分の中で理由をつけることができtだろう。
しかし、人型の上半身に、竜の翼を持つ目の前の化け物は、自然が産んだ存在ではない。
悪意ある誰かが意図的に作り上げた生物だと理解できてしまった。
「……ゾーイ、殺すのであろうか?」
「うむ。殺す。存在そのものが危うい生物だ。ここに現れた意図もまるでわからん。ならば、殺すことにする。そして、我々はこの場からさろう」
「わかったわ、お姉さん、脱出の準備をしておくわね」
「頼む!」
キャサリンにクライドを託すと、ゾーイは双剣を抜き白い異形に肉薄した。
たん、と地面を蹴った音が響いた時には、ゾーイは異形の背後にまわっていた
双剣を交差させて人の、もっと正確にいえば少年の細い首を斬り飛ばした。
白く濁った液体が、血液の代わりに吹き出した。
「――っ、なんだこれは!」
白い血にどのような意味があるのかわからなかったため、ゾーイは白い異形の身体を蹴って離れることで、身体にはいっさいかからなかった。
白い異形の切断された首がの断面図が泡立つ。ぐちゅぐちゅと音を立てて、当たらな顔が生えてきた。不思議なことに、再生ではない。なぜなら、斬り落とした顔と別の顔が現れたのだから。
「吐きそうだ。本当に、なんだこいつらは?」
異形の首から生えた少女の首が、くるり、とゾーイを見た。
悲しげな顔をして瞳から白い涙を流した。
ゾーイが何かを言うべきか悩んでしまう。
だが、それよりも早く、少女の口が裂けて大きな声が発せられた。
「お母さんっ! お母さん! 助けて、お母さん! おうちに帰りたい、お願い、助けて! ねえ、助けて! たすけて! たすけて! たすけて!」
少女の悲痛な叫びが続く。
そして喉の奥から、まるで少女とは思えない声がした。
「逃さねえぞ。お前も、こいつも、お前たちもだぁあああああああああああああああ! ひひひひっ、っは、はははははははははははははははははははは!」




