14「クライドとゾーイです」②
ゾーイはクライドの言葉につい納得してしまった。
元聖女であるゾーイは生まれ育った国で嫌と言うほど人間の醜さを見てきた過去を持っている。
全員が全員、悪人であるわけではないとわかっている。スカイ王国の民は愉快で懐が深いため自然体でいられるが、他の国の人間を相手にすると警戒心を抱いてしまう。
サムたちが近くにいれば安心感はあるが、それでもスカイ王国での日々比べると息苦しいのだ。
人間に対してのトラウマを持つゾーイだからこそ、クライドの言いたいことはわかる。
だが、本当に神々が別動隊を作ってここにやってくるかどうかは懐疑的だった。
「ウォーカー伯爵家にはジェーンがいるから問題ない。おまけにダフネもいる。使徒くらいならばダフネが対応するだろう。神々であってもジェーンを倒せるかどうか疑問だがな」
「そのジェーンどのはどれほど強いのであるか?」
「そうだな。すでに知っている情報もあるだろうが……ジェーン・エイドは魔王ダグラス・エイドの娘にして、準魔王だ」
「ふむ」
「しかし、父親よりも強い。単純な力で言えば、準魔王ではなく魔王級だ。いや、魔王を超えているだろうな」
ただし、ジェーンの力がどれほど強いのかを知る者はいない。
ジェーン自身も、だ。
その理由は簡単であり、ジェーンが全力を出す必要のある敵がいなかったのだ。
「私は、ジェーンは神々に匹敵する、いや、それ以上の力を持っているのではないかと思っている。だが、できることなら……本来、戦いを好まないジェーンが戦わない事を祈ろう」
「つまり、ジェーン・エイド殿は素晴らしきビンビンであるな!」
「……珍しくビンビン言わないなと思っていたら、今言うのか!」
「はっはっは! ジェーン殿を杏するゾーイも良きビンビンである! うむ、あっぱれ!」
「黙れ! 誰がビンビンか!」
結局お約束のやり取りをしてしまうクライドとゾーイ。
なんだかんだと二人は祖父と孫のような関係なのかもしれない。
ゾーイがぷりぷりと怒っていると、小さな、しかし、確実な足音が近づいてくる。
ゾーイは一応クライドの盾となるべく身構える。
「陛下、ゾーイちゃーん、きっとそろそろおやつを欲しがっていると思って、お姉さんの特別手作りのクッキーと淹れたての紅茶を差し入れにきたわよぉ!」
「お前か!」
スカイ王国の人気者にして宮廷魔法少女キャサリン・ドニミク・ジョンストンの登場に、ゾーイは思い切り脱力してしまった。




