13「クライドとゾーイです」①
クライド・アイル・スカイは、かつて魔王レプシー・ダニエルズが封印されていたスカイ王国王宮近くいた。
いや、「いた」というと語弊がある。
重鎮たちによってこの場に封じられていると言った方が正しいだろう。
おまけとしてゾーイ・ストックウェルという準魔王を監視要員として置くという徹底ぶりだ。
「……みんな酷いのである」
「いや、心配されているだけだろう」
「あやつらは私より世界の封印の方が大事なのだ!」
「当たり前なことを言うな!」
「がーん、である! ゾーイ、そこはそんなことはないと力説すべきであろう!」
「どうして私がそんなことをしなければならないのだ?」
心底不思議そうな顔をするゾーイに、さらにショックを受けたクライドはしくしくと泣き始めた。
実に鬱陶しい。
「しかし、このような陰鬱な場にレプシー様が封印されていたとは腹立たしな」
「さすがに三色昼寝付き、ダンスと朗読会を添えてとはできないのである」
「誰がそんなことをしろと言った!? はぁ、貴様と話をしていると頭が痛くなる」
ゾーイは眉間を揉む。
命を狙われているというのに絶好調であるクライドを理解できにのだ。
「さて、ゾーイよ」
「なんだ?」
「そろそろ戦いの支度をするのである」
「――なんだと?」
「現在、サムたちが神々と戦っていることは、魔力の変化でわかる」
「同感だ」
「だが、神々が愚かでなければ、馬鹿正直にサムたちと戦い勝利してから世界の楔を破壊しようなどという面倒なことはしないのである。私なら、隠密性と探索に優れた他の神をこっそり別動隊として送り込むのである」
「……確かに、そうだな」
「さらに言えば、家族を人質にとるくらいもするであろうな。私ならするのである。最大の目的を人質にしてから、事を優位の収めていくのである」
「……お前な」
「私は武人ではなく、王である。幸い、今までしたことはなかったが、勝つためにはどのようなことでもしなければいけないことも必要なのであるよ」
「それはそうなんだろうが……神々がそのようなことをするのか疑問だ」
クライドは苦笑した。
ゾーイが眉を顰める。
「なぜ笑う。不快だ」
「すまないのである。ゾーイ、そなたのような高潔な者には想像もできないであろうが、人間から神になった俗物ならば私が口にしたことくらい平気でするのである。この世界で一番恐ろしく醜い存在は、人間であるのだから」




