12「綾音っちの一撃です」①
飛んできた少年の腕は、サムによって細切れにされた。
地面に血肉が飛び散る。
「――――にぃ」
ココリョナは歪んだ笑みを浮かべると、切断された腕を舐めると、ぐにゃぐにゅと腕が断面図から生えてくる。
「うわぁ、きもい」
ココリョナはサムを狙っているのか視線を外さない。
そのせいで、背後に近づいたレプシー・ダニエルの存在に気づけなかった。
「――全てを喰らう者」
背中からココリョナの胸が抉られた。
肩から腹の間が消えたココリョナが地面に崩れ落ちる。
「ぁあああああああああああああああああああああっ!」
よく胴体が消失した状態で大きな声が出せるものだとサムは感心する。
レプシーも同様のようで苦い顔をしている。
「僕が相手にしましょう」
友也がココリョナの頭に触れると、消えた。
残ったのは下半身だけ。
「……えっと、転移させたんだよね?」
「はい。海のできるだけ深いところに。いくら神々がいじってあるとしても、生命であるのなら水圧に耐えられないでしょう」
確かに、深海の水圧は凄まじいと聞いたことがある。
ココリョナの下半身が足をばたばたさせていたが、今は静かになっている。
水圧で死んだのか、確認できないのが少し危うい。
「今更ですが、火山に飛ばした方がよかったですね」
「そういう問題かな?」
「友也、残念なお知らせだ」
レプシーがココリョナの下半身を指を差した。
ココリョナの抉られた断面から少しずつ肉が盛り上がっていく。
「……まじかー、再生しちゃうんだ」
「下半身ごと深海に投げるべきでしたね、すみません」
「どうやら再生をさせないように完全に消し飛ばすしかないようだね」
ココリョナは特別強いとは思わない。
子供の姿をしているせいか、ひどく幼く感じる。
そして行動も子供じみている。
神の力を与えられたのであれば、その力を使って戦うべきだが、戦い方があまりも雑だ。
子供が己の力を試しているように感じてしまう。
だからこそ、力を完全に使いこなせる前に殺してしまうべきだ。
姿形は子供だが、実際は子供ではない。人でもない。
ためらう必要はない。
「――私に任せなさい!」
今まで戦いには参加していなかった日比谷綾音が動いた。
勇者時代に使っていた聖剣を引き抜き、刀身にすさまじい神力を集中させた。
「けし飛ばすなら私に任せなさい! んにゃぁああああああああああああああ!」
全力で振り下ろされた綾音の聖剣によって、再生途中のココリョナの身体と地面が消し飛ばされ、その衝撃でサムたちも吹き飛んだ。




