9「ランドルフは状況を見ます」
激情のランドルフは、自分たちの計画が予定通りの範囲に収まっていることに安心をしながら、感情には出さないようにしていた。
(ウルリーケ・ウォーカーをはじめとした人間たちの強さは想定外だったが、それでも問題はない。所詮、使徒たちは使い捨て。剣のウィーダルの死亡も予定通りだ)
ランドルフは、嘆きのヘルミーナの腹部を貫く光の剣を放ったカリアン・ショーンを眺める。
(素晴らしい力だ。正直、戦神ディーオドール様が、サミュエル・シャイトに執着する理由がわからない。私から見れば、カリアン・ショーン、ウルリーケ・ウォーカー・ファレルの方が強いのだが)
確かにサムは戦神ディーオドールを一度倒している。
しかし、その時のディーオドールは本来の力から程遠いほど弱体をしていた。
あまりこういうことは言いたくないが、ランドルフであっても当時のディーオドールを倒すことはできたほど、弱体化していたのだ。
サムが強いことは十分理解している。その力を直接見たが、それでもなおサムをディーオドールの脅威であるとは心から思えない。
だが、主人ディーオドールが戦いを望み、満足するのであれば構わない。
同時に、激情のランドルフは戦神ディーオドールがそこまで執着するのであれば、自分がサムと戦いたいと思い始めていた。
(しかし、サミュエル・シャイトをはじめ周りの大人たちも愚かだ。どうして我々が馬鹿正直にここで時間を掛けて戦っているのか微塵も気遣いのか? それとも、すでに対策をしてあるのか?)
ランドルフたちはサムたちを全て殺せると思っている。
同時に、ディーオドールを待たせてしまうことはよくないとも考えていた。
ゆえに、自分たちとは違う世界の楔を探すために「別働隊」がいるのだ。
――すべては戦神ディーオドール様のために。




