8「カリアンの疑問です」③
嘆きのヘルミーナはにぃっと唇を釣り上げた。
「どう、思いますか? カリアン・ショーン、あなたならば少しくらいの推測はできているでしょう?」
質問に質問を返したヘルミーナは、なにやらカリアンを試しているように感じた。
「答えを知りたかったのですが……いいでしょう。私が考えるに、あなた方のどなたかがアルフレッド・ポーンに力を与えたように、我々に何かしらの力を与えていたのでしょう。誰か、までは想像もできませんが、おそらく――古の時代から数々の暗躍をしている本当の意味での黒幕」
「なぜそう思いましたか?」
「アルフレッド・ポーンごときが長い時間、大きな失敗をせずに悪事を働いていたことこそ、本人が気づいていないだけで何かしらの加護を受けていたのではないかと考えています」
カリアンは少しずつ、言葉を重ねて一歩一歩歩みを進める。
「疑問に思ったひとつが、日比谷綾音殿が復活した時にアルフレッドを混ざり物と嫌悪し殺したことです。彼の肉体には興味ありませんが、人間はそう簡単に転化できません。できる人間の多くが人間を超えた力か能力を持っている者ばかり。アルフレッド程度が転化できるはずがない」
ヘルミーナが手を叩いた。
「アルフレッド・ポーンに関しては、正解です。彼はまったく気づいていませんでしたが、神が力を加護を与えていました。もっとも、あの程度でしたが」
「神の力も大したものではありませんね」
「耳が痛いですね。しかし、力も人格も地に落ちているアレをあの程度にまでできたことが奇跡ですよ」
酷い言われようだ。
その程度でしかない、アルフレッドが暗躍し悪事を重ねていたことが腹立たしい。
「カリアン・ショーン、あなたが使徒ではないことが残念です。我々は、あなたを使途にしたかった。いいえ、神として神界に招きたかったのです」
「それは光栄ですね、反吐がでますよ」
「あなたの送ってきた日々を考えると、我々に嫌悪感を抱くことは理解できます。救ってくれる神がいなかった。ですが、こう考えればいいのです。あなたが神になり、あなたような悲しい想いをする人間を減らせるのであると」
「理解ができませんね。神々はこの世界を破壊しようとしているのではないのですか?」
「はい。この世界は破壊神ディーオドール様によって破壊されます。カリアン・ショーン、あなたが導くのはこことは違う世界です」
「やれやれ、どうしても神という存在は愚かで傲慢だ。私の返事を言いましょう――クソ喰らえ、です」
カリアンはヘルミーナに向かい、中指を立てた。
そして、光の大剣を撃ち、彼女の腹を貫いた。




