7「カリアンの疑問です」②
きっかけは些細な疑問だった。
カリアンは魔力を捧げ、「女神」から聖力を授かった。
神聖ディザイア王国では、一定の魔力を持つ者はカリアンと同じく魔力を捧げている。
かつては疑問を抱いたことはない。
「そういうもの」だと思っていたのだ。
神は見えない。いるのかもわからない。
ただ教皇アルフレッド・ポーンがそう言っているだけ。
カリアンにとって、神は「いるのかいないのかわからない」存在でしかなかった。
長い月日を経て、カリアンは女神を見た。
古の魔王によって封印されていた、女神「日比谷綾音」。
復活したばかりだというのに、その力は凄まじかった。
――しかし、彼女の力は「聖力」ではなかった。
当時は、女神から授かる力が「聖力」ではないかと考えていた。
神と人では違いがあるのだろうと。
だが、友に働くようになり、カリアンは疑問をぶつけてみた。
すると綾音は困った顔をした。
「え? なになに? 私、カリアン様たちに力を授けたことなんてないですけど?」
これで答えは出た。
我々が持つ聖力は、我々が神だと信じていた日比谷綾音のものではない。
そう思うと、己の身体に宿る力が気持ち悪くなった。
血管の中に、何かが這いずっている錯覚さえ覚えた。
カリアンは綾音に相談したところ、彼女はあっさりと「じゃあ、繋がりを切る?」と言ってくれた。
綾音から見ると、カリアンたちの聖力はどこかと繋がっているらしい。
そして、魔力に蓋をしているようだ。
カリアンはすぐにお願いをした。
この力から解放してくれ、と。
そして綾音の手によって聖力から解放されて魔力を取り戻したカリアンは絶句した。
かつて「誰か」に捧げたはずの魔力は、聖力よりもずっと大きく強かった。
意図されていたのか、それとも偶然だったのか、カリアンの力は大きく封じられていたのだ。
それは、モンド・ムンドもメイ・リー・リーをはじめ、神聖ディザイア国で魔力を捧げた者すべてが同じだった。
――ならば「聖力」とはなんだ。
――誰が与えた?
――なぜ、魔力より弱い力を使わせたのだ?
カリアンが疑問を抱いた時、どこからともなく舌打ちが聞こえた気がした。




