間話「綾音っちの夢です」①
夜。
深い眠りについていた日比谷綾音は真っ白な空間で目を覚ました。
「……あれ? なにこれ?」
自分は眠っていたはずなのに、と周囲を見渡そうとした時、
「お母様ぁああああああああああああああああああああああああっ!」
「お母様、やっほー」
なぜか母と呼ばれて振り返ると、そこにはとても懐かしい顔がいた。
「――――あんたたち」
「お久しぶりです、お母様。あなたの宇宙一かわいい息子ルーシェルです」
「漆黒の悪役令嬢大天使アイリーンだよー」
「ルー、モアイ」
綾音は目を丸くして、夢であることを自覚した。
綾音が白雪によって封印されている間に、息子と娘は死んでいる。
ならば、このように都合よく再会できるはずがないのだ。
「……ふたりとも、夢でも嬉しいわ」
「僕もです」
「私も」
「ですが、お母様は少し勘違いをしていますね」
「え?」
「確かに現在、この場はお母様の夢の中ですが、僕たちはお母様の夢の中の登場人物ではありません。お母様が知る、かわいいルーと、お転婆なモアイですよ」
「え、ちょっとまってどういうこと?」
息子の言葉に驚きを禁じ得なかった。
同時に動揺する。
「お母様、あのね。私たちは転生スタンバイ中なの」
「あ、うん」
「つまり何をお伝えしたかったかというと――サムお父様との子作りお疲れ様でした。たくさん励んでいるようで、息子として嬉しく思います!」
「さすが私の遠い子孫。ちゃんとベッドの魔王を受け継いでいることに感動を覚えている」
「ちょ、お前ら覗き見るな! あと、本当にベッドの魔王はやばいから! モアイが発祥らしいけど、とんでもねえことしたわね!」
綾音としては、子供たちに夜の営みを見られていたことに動揺を隠せない。
というか、覗き見るんじゃねえよ、と普通に思う。
「僕たちは、お母様にたくさん頑張って励んでいただき早く僕たちを転生させていただきたいのです!」
「無茶言うな!」
「正直、スカイ王国のみんなとうまくやっていけれる自信がある」
「でしょうね! モアイは余裕よね! なんだったらスカイ王国の原型作ってるもんね!」
「どやぁ!」
綾音はつい笑ってしまった。
ルーシェルとアイリーンが、本当にふたりが転生待ちとして現れているのか、それとも綾音の記憶が生み出したものなのかわからない。
だけど、また会えて嬉しかった。
「……ねえ、あんたたち時間はあるの? 久しぶりにあえたのだから、時間が許す限りお話ししましょう」
「――もちろんです!」
「うん!」
綾音は、この奇跡のような時間を大切にした。




