2「因縁のふたりです」②
血が溢れた。
大量の血が地面に広がり、血溜まりを作る。
アルフレッドを串刺しにした光の剣すら赤く染まっていた。
「……痛いじゃないか、カリアン。僕が散々、面倒を見てやったのに、その礼が僕を罵り、臆病者呼ばわりし、そして串刺しか。正直、飼い犬に手を噛まれた気分だよ」
「私は一度としてあなたに恩など覚えたことはありませんけどね」
「やはり裏切り者はこの程度か。カリアン、お前が態度を改めればもう一度駒として使ってやろうと思っていたのだが、所詮、裏切り者は裏切り者だ」
「不思議な話をしますね。私はあなたを裏切ったことなど一度もありませんが?」
「――貴様っ! 僕の心臓を潰しておきながらっ、よくもそんなことを!」
光の剣が消滅すると、みるみるアルフレッドの肉体が修復されていく。
魔王の再生能力も早い再生であるとカリアンが確認する。
「誤解をされているようなので、はっきりと言っておきましょう」
「なに?」
「私は一度としてあなたに仕えたことはありません。すべては妻を奪ったお前に復讐するために、一番のタイミングを狙っていただけです」
「……そういえば、そんなことを言っていたな」
「あなたには感謝もしているんですよ。臆病ゆえに誰も信じず、こそこそしていたせいで復讐するタイミングが訪れた時に、サムたちとも出会えた。もし、サムに出会う前に復讐をは対してたら私は自ら命を絶っていたでしょう」
カリアンが地面を蹴り、回復したアルフレッドに肉薄する。
胸に抜き手を放ち、貫く。
「ごはっ」
「お前を殺して自らも命を絶っていたら妻に叱られたでしょう。神聖ディザイア王国の民も救えなかった。そして何よりも、お前をまたこの手で殺せる! 全力を持って、塵も残さずに殺してくれる!」
カリアンが、腕を引き抜く。
アルフレッドの胸に大きが穴が開き、口から大量の血を吐き出した。
「さて、私の手にお前の心臓が握られているのですが」
「――きさっ」
「どうせ潰してもしぶといお前は死なないのでしょうね」
そう言って、カリアンは血に濡れた手に持つアルフレッドの心臓を握りつぶした。




