1「因縁のふたりです」①
カリアン・ショーンは静かに足を進めた。
「――おじいちゃん?」
「因縁ある相手です、私に任せてください」
心配する孫の肩を叩き、前に出る。
アルフレッド・ポーンの眼前に立った。
「――カリアン・ショーンじゃないか。まさか君がスカイ王国で孫と娘と一緒に仲良しこよしの生活をしているとは思わなかったよ。てっきり、君のことだから妻を想い後を追うかと思っていたんだけどね」
「妻に生きろと言われましたので、ひ孫の顔を見て幸せな日々を送っていますよ」
嫌味なことを言うアルフレッドに対し、カリアンは余裕の態度で応じた。
それを面白くなかったのか、アルフレッドの顔がわずかに引き攣る。
カリアンはアルフレッドの反応に気づいたのか、そうでないのか、追撃とばかりに言葉を紡いだ。
「そうそう、あなたが大事にしていた神聖ディザイア国はもう滅ぶでしょう。未来ある子供や、愚かな国に染まっていない人間はすべて保護しました。今、あの国にいるのは、国が滅びかけているというのに己の欲を満たそうと、それはそれは愚かで醜い者ばかりですよ」
「……僕の国を、よくも」
「あなたの国ではないでしょう。もしも、本当にあの国を自分の国であると思っていたのなら、取り返しのならないくらいに腐敗する前になんとかすればよかったのです。腐っていくのを知りながら、放置したあなたに文句を言う権利はないのですよ」
「……カリアン・ショーンっ、貴様っ、好き勝手なことを!」
拳を強く握りしめ、睨みつけてくるアルフレッドにカリアンが失笑した。
「常々思っていましたが、あなたはなぜ怒りを覚えたときに攻撃をしないのでしょうか? いつもあなたは感情を露わにしても、戦おうとしはない。最初はあなたが理性で感情を抑えているのだと思っていましたが、そうではない。単に、あなたは臆病なだけです」
「カリアン・ショーンぉおおおおおおおおおおおおおおんんっ!」
「今も怒鳴るだけ。しかも、気づいていない。私がすでに攻撃をしかけていることに」
瞬く間にアルフレッドの周囲を光の剣が囲んだ。
彼の四方八方を全て光の剣が包囲している。
「……なるほど、君はいつもこそこそするのが得意のようだ」
「あなたは力はあるのでしょうが、戦いが得意ではない。自分よりも弱い人間を踏みつけるのは得意だが、少しでも反撃される可能性があれば怯えて何もできない。ただの臆病者で卑怯者だ」
カリアンは手を掲げる。
「この程度で神の使徒になったあなたが死ぬとは思いませんが、ちょっとした挨拶です。お受け取りください」
そう言い、手を握りしめた。
次の瞬間、あまたの光の剣がアルフレッドを串刺しにした。




