エピローグ「過去からの敵です」
「……さてと、次はあんたの番かな? 嘆きのなんとかさんとやら!」
嘆きのヘルミーナに向かい、サムが吠える。
しかし、ヘルミーナは気にした様子もない。
「いえ、まだ私の番ではありません」
「ってことは、まだ使徒がいるってことか。まどろっこしいことしやがって!」
「使徒はまだ複数人います。皆、この場にいる者に何かしらの因縁がある者であるとお伝えしておきましょう」
「……趣味が悪いな、あんた。そんなことをしても無駄だとわからないのか?」
「無駄ですか?」
ヘルミーナがくすりと笑う。
「私は無駄だとはまったく思いません。現にアルバート・フレイジュはあなたにそれなりのダメージを負わせることができました。私にはわかっていました。アルバート・フレイジュならば、あなたは真正面から全力で戦うと。そして、その通りになりました」
「はいはい、そうですか」
「すべて私の手のひらの上です。そして、これからも」
サムは大きな苛立ちを覚えたが、大きく息を吐き出し堪えた。
感情的になってはいけない。
戦いの最中ならまだしも、神を相手に何が起きるのかわからない状態で愚かな行動は絶対にできなかった。
「上等だよ。何十人でも何百人でも、使徒を連れてくるといいさ。全員、斬り殺してやる」
「サミュエル・シャイト。あなたが敵であることが残念でありません。仲間であれば、と心から思います。同時に、あなたが敵であることに感謝します! あなたのような強者を相手にできるからこそ、我々は心躍らせるのです!」
再び魔法陣が生まれる。
眩い光と共に、ひとりの少年が現れた。
「――――やあ、久しぶりだね。本物の神に選ばれたこの僕が、君たちに引導を渡そう。僕の長い計画を阻んだ愚か者どもめ、神の鉄槌をくらわせてやる!」
穏やかな表情から怒りの形相に表情を変えながら、強い怒りを宿す少年。
彼は、かつて「神聖ディザイア国」に長く教皇として君臨し、様々な暗躍をしていた過去の人間――アルフレッド・ポーンだった。
「これからあなたたちには、因縁ある人物と戦ってもらいましょう。これが、私、嘆きのヘルミーナのちょっとした嫌がらせです」




