105「サムとアルバートです」②
サムの一撃は、アルバートの炎を断ち切った。
そして、そのままアルバートの肉体を腹の位置で横に両断した。
――だが、肉体を二分割されながらアルバートは笑う。
「痛えな! 確かにこんな思い切り斬られたら死ぬわな!」
「あー、再生能力も持っているわけね。そりゃそうか。神の力とやらをもらっているんだから、そういうことになるのか」
「残念だが、そういうことだ! 対して、てめえはただの人間だ。回復魔法を持っていても、再生能力はない。フェアじゃないなんて言うんじゃねえぞ?」
「言うわけがないでしょう。むしろ、そのくらい――ハンデだよ!」
「よく言いやがった!」
真紅の業火がアルバートから再び放たれた。
サムの視界が赤に染まるほどの炎だ。
「――アルバート、あんた……身体が」
サムは、アルバートの肉体が炎に焼かれ、焼け爛れているのを見てしまった。
焼かれながら再生能力によって再生し、また焼かれる。
その繰り返し。
「はっ、神の力を使っているんだ。リスクくらいあるだろうが!」
「いいね、アルバート・フレイジュ。あんたのその犠牲を払ってでも勝ちに貪欲なところ、嫌いじゃないよ」
「よせよ、照れるだろうが」
「出会いが違っていれば、友人に慣れていかもしれないね。とても残念だよ」
「俺もだ」
サムが残念そうに、アルバートはつまらなそうに、言葉を交わし、攻撃をした。
アルバートから放たれた炎は、まさに炎の雨だった。
この地を覆うほどの赤が空から降ってくる。
再生能力のないサムにとって、わずかでも当たれば大怪我になる。回復魔術が使えるとはいえ、身体を治すのに魔力と体力を大きく消費するだろう。
迎撃する魔法もあるが、正直、視界を覆う量の魔法にどれだけ対応できるか不安が残る。
「俺は結局これしかないんだよな! ――刹那に斬り裂く者っ!」
炎の雨に対し、サムは千の斬撃で応戦した。
炎は全て斬り裂いた。
細かな火花が降り注ぎサムの肉体を焼くが問題ない。
「よそ見してるんじゃねえよ!」
「――あ、やば」
上から降り注ぐ炎に対応することに集中していたせいで、アルバートから本当に少しだけ意識が逸れてしまった。
その瞬く間の隙を、アルバートは見逃さなかった。
「喰らっておけ! ――獄炎!」
アルバートの放った炎は、デライトの得意とする魔法だった。
渦巻く炎がサムに一直線に襲いかかる。
サムは大きく息をすると、この戦いで初めて全力を出した。
「――刹那に全てを斬り裂く者」




