104「サムとアルバートです」①
始まりは炎だった。
サミュエル・シャイトとアルバート・フレイジュが、詠唱も何もなく呼吸をするように炎の魔法を放った。
真紅の炎はぶつかり、熱波を放ち、相殺された。
にぃ、とふたりが笑う。
サムもアルバートも「そこそこ」の力を込めて撃った魔法が、綺麗に相殺されたことで、お互いが想像しているよりもはるか高みにいることを理解した。
サムは生まれ持った才能と努力、そして数多くの経験によって。
アルバートは、神に与えられた力を努力して使いこなせるようになった。
ふたりの力は違うが、どちらも努力したことは変わりない。
「いいなぁ、サミュエル・シャイト!」
「あんたもね」
笑う。
サムもアルバートも、楽しそうに笑う。
「いくぜぇ、サミュエル・シャイト! 神にもらった力でも、俺が使いこなせていることを見せてやるよ!」
「はっ、その力ごと斬り裂いてやる!」
サムは、借り物の力を使うアルバートを軽視しない。
たとえ借り物であっても、自分の意思で自分が使いたいように使いこなせているのであれば、それは使い手の力である。
「その程度」のことで、相手を舐めたりはしない。
「てめえに使うことができず殺されちまったが、これが俺の十八番だ! ――紅い炎」
真紅の豪華がアルバートを飲み込むように渦を巻いた。
美しい、紅色の炎だった。
「いいね!」
サムは魔力を高める。
相手が十八番を使うのなら、サムのすべきことを決まっている。
「真紅の炎に飲まれて灰になりやがれぇええええええええええええええええ!」
渦巻く炎がサムを飲み込まんと襲いかかる。
サムは冷静に、そして、笑いながら右腕を薙いだ。
「――全てを斬り裂く者」




