102「アルバートの理由です」①
「……てめえ、いくら俺を思い出したことが嬉しくても、いきなり殴るとかありえねえだろ」
「何を食べて育てば、そんなにポジティブになれるんだよ? アルバート・フレイジュ、お前のことは思い出したぞ。正直、雑魚すぎて思い出すのが大変だった」
「……それだよ!」
「どれだよ!?」
鼻血を流れる顔を押さえ、アルバートがサムを睨んだ。
彼の顔はすぐに再生していく。
再生能力を得ているということは、使徒であることは間違いないのだろう。
いや、それ以前の問題だ。
完全に殺した相手が、目の前にいるのだ。
マニオンやロイグのように、使徒になったのだと納得できる。
「俺はそれなりに魔法を使えたんだぞ! それを、てめえに一瞬で殺されたせいで、雑魚扱いだ!」
「自分でそれなりって言っちゃうくらいなんだから大したことがないんじゃ」
「宮廷魔法使いになれるんだから、それなりだろうが! しかも、魔法と魔法の戦いじゃなくて、いきなり斬りやがって!」
「あー、それはごめんね。でも、ほら、ムカついていたから、つい」
「…………まあ、ムカつかせたのは俺が原因だからな、仕方がない」
「おい、聞き分けよすぎだろ」
「今の俺は、権力とか地位とかそういうもんに囚われていねえんだよ。言ってみれば、綺麗なアルバート・フレイジュだ。そういう意味では、初めましてだな!」
「自分でそういうこと言っちゃうの? 悲しくない!?」
「悲しいに決まっているだろ!」
唾を飛ばして怒鳴るアルバートに、「だよね」とサムが頷いた。
「まあいい。俺は神の使徒になった。破格の神と同等の力を得た。ついでに、すべてではないがこの一年の間の情報を断片的に得ている」
「それで?」
「フランチェスカと結婚したようだな、子供までできたとは……おめでとう」
「まさかのお祝いのお言葉!?」
「いや、マジで。おめでとう。他にも、ステラ王女に、リーゼロッテとアリシア、花蓮と水樹か。いや、マジで、その世代の問題児たちを妻にするとか、男として尊敬するんだが」
「ガチでのお祝いだった!」
「なんというか、感慨深いじゃねえか。あのフランチェスカが人妻で母親か。こう、心にクルものがあるな」
「……てめぇ」
「ああ、いや、誤解するな。マジな話、フランチェスカに興味はねえ」
サムが拳を強く握りしめた。
「散々、フランチェスカに付き纏っていたくせにどの口が」
「待て待て、話を聞け。俺は確かにフランチェスカに言い寄った。それは間違いない。正直、悪いと思っているんだ。反省もしている。どうも俺は、素直になれない性格でな」
「何が言いたい?」
「俺はフランチェスカと家族なりたかったんだ。フランチェスカの夫になって、デライト・シナトラの息子になりたかったんだ!」
「…………んんん?」




