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98「神々の使徒です」①





「面倒くさいことになってきたんじゃないか? いっそ、全員でかかってこいよ!」


 サムが挑発する。

 マニオンと神剣ウィーダルの戦いに触発され、感情が昂っているのだ。


「そうときめくな、サミュエル・シャイト」

「別にときめいてはいないよ!?」

「我々は、ウルリーケ・ウォーカー・ファレル、マニオン・ラインバッハに強さを見せてもらった。正直、人間であること、使徒であることから、神々である我々は舐めていた。心から謝罪しよう」


 激情のランドルフは、胸に手を当てて腰を折った。


「君たちのことを舐めていたし、侮っていた。我々は絶対的に強いと傲慢だった。反省し、心を入れ替えた。君たちは全力ですり潰さなければならない強敵だ」

「そりゃ嬉しいね。だが、あんたたちはまだ俺たちの強さを知らない。俺の力を、友也の力を、おじいちゃんの力を、レプシーの力を、綾音さんの力を何もわかっていない。あんたたちはあとで悔やむはずだ。もっと仲間を連れてくればよかった、ってね」

「ははははははっ! 心配無用、神々は四人だが、手札がまったくないというわけではないのだ!」

「なに?」

「嘆きのヘルミーナ、頼む」

「――はい」


 二十歳ほどの美しい女性――嘆きのヘルミーナが前に出てきた。

 今まで戦いを静かに見守り、回復役を担っていた彼女の能力はサムたちにはわからない。

 修道女を思わせるローブに身を包んだヘルミーナは、サムをまっすぐに見つめた。


「サミュエル・シャイト。初めまして。私は嘆きのヘルミーナと申します。生前は聖女として多くの人間を癒し救いましたが、繰り返し争い続ける人間に辟易し、見限った過去を持ちます。ゆえに、あなたのように戦いを好む人間は嫌いです。おとなしく、神に世界を委ねなさい」

「しらけることを言うな、あんた。今更、はいそうですか、と引くくらいなら最初から戦ってないんだよ!」

「――そうですか。そうですね。では、私はあなたに嘆きを与えましょう。我々と戦わなければよかったと、あとで嘆かせてあげましょう」

「やってみろ」

「そして、魔王遠藤友也」

「僕ですか?」


 ヘルミーナはサムから友也に視線を移し、鋭い眼光で睨んだ。


「あなたに……激情のランドルフは渡しません」

「いりませんけど!? あ、さっきのラッキースケベのことを言っているのであれば、誤解ですと言ったじゃないですか! あなたたちの仲を邪魔するつもりはありません!」

「そういって私の知らぬ間にランドルフを寝とるのでしょう?」

「しねーよ!」

「――っ、まさか、遠藤友也……貴様は私のことを本気で狙っているのか」


 ランドルフが怯えた顔をする。


「お前もいちいち反応するんじゃねえよ! ほら、嘆きのヘルミーナくんの顔がすごい形相になっちゃったじゃないですか!」

「許しません、遠藤友也。あなたもあとで嘆かせてあげましょう」

「ですから――――っ」


 ヘルミーナの神力が高まった。

 凄まじい力だ。

 神剣ウィーダルの力よりも、さらに上だ。


「嘆きの時間の始まりです。あなたたちに祈る神がいない以上、絶望し、苦しみ、死になさい」


 ヘルミーナを中心に大きな魔法陣が展開される。

 さらに力が高まった。

 力は圧となり暴風を産む。

 サムたちはこれから起きることに警戒しながら、吹き飛ばされないように必死で耐えた。



 ――そして、風がやんだ。



 静寂となったこの地に、足音が響いた。








「よう、サミュエル・シャイトぉ! 久しぶりだな! 神に選ばれた俺が絶対的な力で復讐に来たぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」







 絶叫と共に現れたのは、かつてサムに両断されたスカイ王国最強の魔法使いの座にいた宮廷魔法使い――アルバート・フレイジュだった。








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