97「次の戦いです」
「マニオン、ありがとう。助かったよ」
「――兄さん」
サムがマニオンに声をかけ、歩み寄る。
「強いってわかっていたけど、ずっとずっと強かったね。正直、戦うのが楽しみだよ」
「僕もですよ、兄さん。さっさと神々を倒し、全力で僕と戦いましょう」
「ああ。そうしよう」
兄弟がハイタッチする。
そして、揃って神々を睨んだ。
「ていうわけだから、前座の神々にはさっさと退場してもらおうか。今の俺には、戦神ディオードールもどうでもいい。ただ、マニオンと戦いたい、それだけだ」
「そうらしいので、早く決着をつけるとしよう」
「なんと不遜な兄弟だ! 血の繋がりがないことが不思議でならんな! ならば、この激情のランドルフが神の強さを思い知らせてくれよう」
ランドルフがサムとマニオンに笑う。
先ほどマニオンに言ったように、ランドルフも戦いを楽しみたいのだろう。
「待ちなさい、ランドルフ。私が出るわ」
「紅の?」
ウルと戦い焼かれてしまった、女神にして魔女である紅のグリムレンがゆらりと立ち上がる。
焼けた肌は修復されている。
「ウルリーケ・ウォーカー・ファレル……あなたがどうして私に止めを刺さなかったのか不思議だわ。でも、私はこうしてまた戦えるほど回復した。思考も驚くほどクリアになったわ。面白いことに、感情も考えも制限されていたんじゃないかと思うくらい、視野が狭かった」
「私に負けた言い訳か?」
ウルは動かない。
地面に腰を下ろしたまま、言葉を返すだけ。
「違うわ、言い訳はしない。でも、あなたの炎で灼かれ、なぜか私の心は落ち着きを取り戻した。そして、あなたと命を賭けて、なりふり考えずに戦いたいと願っているわ」
「いいだろう。――ならば、もう少し回復に努めろ」
「なんですって?」
「私は肉体消耗はあるが、魔力はまだ余裕がある。お前は違うだろう? 肉体は元気になっても、魔力はさっきよりも減っている。ならば、魔力を吸収しろ。大気中にある魔力を取り入れ、回復に努める。そして、私に絶対に勝てるという確信ができたらまた声をかけてくれ」
「――余裕なのね」
「違う違う。――私は全力で神殺しを楽しみたいんだ」
にぃ、と笑うウルに、グリムレンも笑みを零した。
「いいわ。お言葉に甘えてそうしましょう。まったく真剣ウィーダルに感化されてしまったのかしら。あなたとの戦いが楽しみで楽しみでならないわ」
「奇遇だな。私もだ。次は殺す」
「それはこちらのセリフよ」




