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95「神々の想いです」





「――ふう」


 マニオンは大きく息を吐いた。

 完全に神剣ウィーダルが消滅したことで、肩の力を少しだけ抜いた。

 まだ神々はいるので気は抜けないが、少しくらいはいいだろう。


「見事だ、マニオン・ラインバッハ!」


 激情のランドルフが拍手をしていた。

 仲間を殺されていながら、怒りの感情が見えない。

 むしろ、喜んでいるようにさえ見えた。


「……仲間の死を悼んだりしないんですね」

「はははははははっ! 思い違いをしている、マニオン・ラインバッハよ。我々は仲間であり友であるが、同じ志を持つ同志でもあるからこそ、正々堂々戦って満足して死んだ神剣ヴィーダルの生き様に悲しむことはない。彼は本望だった。戦士として、剣として戦って死んだ。――ありがとう、マニオン・ラインバッハ。友として心から感謝しよう」


 激情のランドルフも、嘆きのヘルミーナも、そしてウルと戦った傷を癒やされた紅のグリムレンも、誰ひとりとして神剣ウィーダルの戦いに介入することはしなかった。

 目を逸らすことなく、彼の最期を見届けていた。


「理解できませんね。あなたたちは、この世界の楔を破壊して戦神ディーオドールをこの地に呼ぶことを目的としているはずだ!」

「無論、我々は戦神ディーオドール様のために命を賭して戦うと決めている。だが、同時に、我々は神ではなく戦士として戦いたいのだ」


 ランドルフは大きく手を広げて語る。


「神とは退屈だ。己の力を使う場所が少ない。神々が小競り合いすることはあるが、数える程度だ。仲間内での鍛錬などもう飽きた」

「……なんてわがままな」

「そう! わがままなのだ! 神らしく理不尽なことを言い、したいのだ!」





「――そして、できることなら戦士として戦い、散りたい」

「…………な」





 マニオンは言葉がなかった。

 まさか「死」を望んでいるとは思ってもいなかったのだ。


「誤解するな、マニオン・ラインバッハ。自殺願望があるわけではない。しかし、神として変わりのない悠久の時間を過ごし続けるのであれば、満足する戦いの果てに散りたいと思うことは戦士として当然のことだ」

「僕は、わからない」

「ははは。それはそうだ。君はまだ使徒になって時間は短い。敬愛するヴァルレインもいる。私たちとはまるで違う」


 どこかランドルフの声は、寂しそうだった。


「ふっ、私の戯言はこのくらいにしておこう。――さて! 神剣ウィーダルは敗れ、散った! 次は誰が戦う!? 超越者ウルリーケ・ウォーカー・ファレル! 紅のグリムレンと決着をつけるか!? 最強の魔王として君臨したレプシー・ダニエルズ! 君の力を我々に知らしめるか!? 復讐者カリアン・ショーン! 神を憎んでいる君に、復讐のチャンス目の前にあるぞ! 勇者にして女神に至った日比谷綾音! お前は……特に何もないな」

「ないのかよ! なんか頑張って言いなさいよ!」

「そして、サミュエル・シャイト。神をも斬り捨てる、斬り裂く者よ! 楽しい戦いをしよう! 最高の戦いをしよう! 腹の底から笑える戦いをしよう!」






 友也くん「……あの、僕の名前が呼ばれなかったんですけど」

 シリアス先輩「どんまい!」


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