93「マニオンの力です」①
神剣ストフォルテと神剣ウィーダルが激突した。
剣と剣がせめぎ合い火花を散らす。
「マニオン・ラインバッハっ! いいぞ! 私は今、女神が愛用した剣と互角に戦えている! 私の今まで培ってきたものが間違いではなかったと証明されている!」
ウィーダルは歓喜の表情を浮かべていた。
全力で戦いながら、神剣と至った己が神の剣に負けていないのだ。
剣戟が繰り広げられる。
剣と剣がぶつかる度に、火花が散り、衝撃の余波で斬撃が生まれ地形を斬り砕いていく。
「素晴らしい、マニオン・ラインバッハ! お前は神剣ストフォルテを己の腕のように扱っている。どれだけの時間、心血を注げばそれだけの力を得たのか! なぜ私は気づけなかったのか、お前は己の力で私と戦っていると! 私の目は、曇っていた!」
先ほどよりも、剣は早く重い。
神剣ウィーダルがマニオンの身体を的確に傷つけた。
「まるで頭の中にあった霧が晴れたような感覚だ!」
ウィーダルのテンションは高い。
冷静さを失っているのかと誤解しそうになるが、動きは冷静だ。
一振りで五つの斬撃が飛んでくる。
対処しようと思えば、次は三つの斬撃が不規則に暴れた。
さらに次は背後から斬撃が飛んでくる始末だ。
先ほどとは逆に、マニオンは押されていた。
再生能力が追いつかないほど、次々と身体が斬られていく。
血を失えば、意識も少しずつ掠れていく。だと言うのに、痛みで意識が鮮明になる。
その繰り返し。
「消耗しているな、マニオン・ラインバッハ!」
鋭い一撃が、マニオンの胸を貫いた。
急所は避けたが、ダメージは大きい。
ウィーダルは刀身をマニオンに二度も掴まれたことで警戒しているのだろう、すぐに剣を抜き間合から離れる。
「私は様々な能力を持っている。斬撃を飛ばし、斬撃を操り、等身さえも自在に変化させられる。まだ見せていない能力は山のようにある。おっと、手当たり次第に手を出した堪え性のない奴だと笑わないでほしい。私は剣として、自分にとって何が一番相応しいのか勤勉に学んだだけなのだから」
「……なるほど、それで、相応しい何かは見つかりましたか?」
白い戦闘衣も血まみれにしながらマニオンは変わらず微笑む。
防戦一方になっていた身でありながら、まだ余裕があった。
「見つけたとも! 結局は、後先を考えずに力をすべて込めて振るうだけの単純な一撃こそ、私にとって最強の一撃であると!」
「奇遇ですね、僕も同じです」
マニオンの力が大きく跳ねた。
彼のどこにこれほどの力を隠していたのかと、誰もが思っただろう。
「――マニオン・ラインバッハ……それだけの力を隠していたのか?」
「出し惜しみをしていたわけではないんです。ただ、兄さんと戦うために力を温存していたんですけど……神剣ウィーダル、あなたは強い。後先考えず、全力で殺します」
「はっ、ははははははははっ! こいっ、マニオン・ラインバッハ! 一緒にときめこうじゃないか!」
「ええ、ときめきましょう」
マニオンの瞳が白銀に染まる。
力がさらに高まり、神であるウィーダルを超えた。
「――輝け、神剣ストフォルテ」




