56「ウルは殺る気満々です」①
サムは廊下を走り、食堂に向かった。
何かと大世帯のため一同が集まるには、なんだかんだと自然にここに足が運ぶのだ。
「みんなは……集まってくれたみたいだね」
食堂に集まったのは、サム、ジェーン、マクナマラ、カリアン、ゾーイ、ボーウッド、綾音、白雪、ギュンター、クリーだ。
「申し訳ありません。レプシーを迎えに行っていました」
「すまない、家族をリーゼ殿たちに預かってもらったので遅くなってしまった」
「そんな、みんな早くに集まってくれてありがたいです」
レプシーと友也も加わり、錚々たる面々となった。
「エヴァンジェリン様、モンド殿は神殿に控えているそうです。守るべき人たちもいますので、ご容赦を」
カリアンが、この場にいないふたりの事情を話す。
ボーウッドも続けた。
「ロボとダフネの姉御、デリックの旦那はアリシアの姉御たちをお守りすることに全力を注ぐとのことでさぁ!」
正直、信頼できるダフネとデリック、そして魔王ロボが家族につきっきりで守ってくれるのはありがたい。
サムはふたりに頷いた。
「神々が間違いなく動いたな。まさかこれほど明確に気づくことができるとは思わなかった」
マクナマラが武者奮いしていた。
彼女も戦う気満々のようだ。
「リーゼ殿たちは神々の動きを感じられなかったのでしょう。ですが、我々の反応を見て気付いたようですね。本来ならば、こちらに来たかったでしょうが邪魔になってはいけないからとお子様たちと一緒に集まり待機してくれて言います」
「……うん。おじいちゃん、教えてくれてありがとう」
「おそらく、陛下たちもお気づきになったはずですが……王宮は王宮での動きがあるでしょうから、まずは我々だけで話をしましょう。これだけの戦力がいるとはいえ相手は神です。不安も山のようにあります」
クライド陛下、デライト、ジョナサン、ローガン、キャサリンあたりは神々の動きに気づいたはずだ。
サム的には、クライド・アイル・スカイが世界の楔のひとつであるため、王宮の奥深くに隠れていて欲しいと願ってしまう。
楔関係なく、義理の父だ。命を失うことは望んでいない。
それはジョナサンたちのことも同じだった。
「……ところで、神と戦うにあたりいの一番に暴れ出しそうなウルがいないのは何故だ?」
「――ちょ、まさかもう出陣しちゃった!?」
ゾーイの疑問に、サムが慌てる。
そんなサムの尻を軽く叩き、ギュンターが微笑んだ。
「落ち着きたまえ、ウルならばお風呂タイムだよ。今、こちらに向かっている。ほら」
ギュンターが食堂の入り口を向くと同時に、バスローブ姿のウルが飛び込んできた。
「戦だぁあああああああああああああああああああああああ!」
サムはウルがいつも通りでほっと安心した。




