42「女性陣の集いです」①
サムがマニオンと共闘の約束をして、友也がラッキースケベおじさんとして子供たちと触れ合い、アマリアがウルに素質を見出されて修行をして逞しくなった。
賑やかだが平和な時間が進んでいた。
――そんなよく晴れたある日、ウォーカー伯爵家にサミュエル・シャイトの婚約者たちが集まっていた。
日比谷綾音、ウルリーケ・ウォーカー・ファレル、オフェーリア・ジュラ、ゾーイ・ストックウェルが現在正式に発表されている婚約者たちだ。
他にも、女神業が忙しいので後日改めてとなっている愛の女神エヴァンジェリン・アラヒー、エヴァンジェリンに使える巫女にして聖女霧島薫子、魔王ダグラス・エイドから「よしなに」と勧められている準魔王ジェーン・エイド、「私は最後で構いません」とメイドを続けるサムの幼い頃からの家族エルフのダフネ・ロマックも後日サムと婚約し、結婚する予定であるが、それぞれ都合が合わずダフネ以外は本日来ていない。
最も、今後どうなるのかわからないのが「世界の意思」だ。
彼女は嫁に来るとサムに宣言したようだが、本当に来るつもりなのか、それともサムの周囲の人間を参考にして言葉を選んでいるだけなのか不明だった。
とにかく、世界の意思に関してはいずれわかるだろうから、今はいいだろう。
「――こほん。本日はお日柄も良く。ようこそ我が屋敷に。麗しく勇ましいサミュエル・シャイトの正妻の僕の呼びかけに集まってくれて心から感謝するよ」
伯爵家のテラスに、テーブルと椅子を並べて座る女性たちに白いタキシードを来てこれから夜会にでも行くのかと言わんばかりの身だしなみを整えたギュンター・イグナーツが白ワインの入ったグラスを手に取り挨拶を始めた。
「今日は、君たちとサムのこれらについて存分に語り合おうと思う。――安心したまえ、この正妻が平等に話を仕切ると約束しよう」
全員の前にはお茶が置かれているのに、なぜギュンターだけがワインなのか。なぜ女性たちは普段の簡素なドレスを身につけているのに、ギュンターだけ夜会バージョンなのか、と疑問点は大きいが、言動がおかしいことはいつものことだ。
しかし、女性たちに無視できない言葉があった。
「――ギュンター、あなたね。どうして結婚も婚約も何もしていないあなたが正妻を名乗っているのよ」
「――おや?」
「そんな心底わからないような顔をするのをやめてちょうだい」
リーゼが頭痛を覚えたように額に手を当てる。
「あまりふざけたことを言っていると、ティーカップを投げつけるわよ」
「私は魔法を撃つぞ?」
「私も」
「私も」
「私は剣をその忌々しい顔に突き立ててやりたいがな!」
正室が自分であると厚かましく主張するギュンターに、リーゼをはじめとした女性陣が苛立ちを覚えていた。
サムたちは話をした結果、全員が家族であるため妻、子に上もしたもないと決めている。
ただ、何かの催し物に妻同伴として出席する場合は、リーゼかステラを連れて行くことになっている。ただ、複数人の妻の出席が可能な場合が多いので、基本的にはみんなで出席することになっている。
それでも、一応、形として正室はリーゼロッテになっていた。
――当たり前だが、ギュンター・イグナーツではない。
「……ぎゅんぎゅん様、クリーポイントマイナス四五七六八です。一定を超えたら、お仕置きフルコースを三セットです」
「――ぴっ」
「えっと、本当になにかしらこの集まり?」
サムの関係者が集まる中、ギュンターの妻にして大事な抑止力でもあるクリー・イグナーツ、そして暇だからという理由で連れてこられた魔王日比谷白雪もこの謎の集まりに参加させられていた。




