41「素敵な提案です」②
「弟子が寝取られたぁああああああああああああああああああああああ!」
「誤解されるようなことを叫ぶな!」
アマリアが弟子を掛け持ちすることを決めたショックからか、とんでもないことを叫んだ友也の頭部にウルが踵を落とした。
「あべっ」
「変態の弟子であると同時に私の弟子でもあるってことだ。肩書きが変態の弟子だけじゃかわいそうだろう」
「……破壊神の弟子というのもどうかと思いますが」
「変態よりはマシだ」
「ですよねぇ!」
友也も頭ではわかっていた。
アマリアにとって、ウルの弟子になることはいいことであると。
スカイ王国伯爵家の娘であると同時に、宮廷魔法少女キャサリン・ドミニク・ジョンストンの部下として働く父と兄もおり、サミュエル・シャイトの婚約者であるウルリーケの弟子になれば彼女のスカイ王国での立場は安泰だろう。
わかっているのだが、自分とカルミナ以外の転移能力持ちであるアマリアが自分以外の弟子になってしまうのは、ちょっと寂しかった。
「師匠」
「……アマリア」
「ウルリーケ様の弟子になっても、師匠のことは師匠として尊敬していますし、恩人であることは変わりません」
ぶわっ、と友也が泣いた。
シャルロッテが「いい話だ」と言わんばかりに親指を立てていたのは偶然だろうか。
「ありがとう、アマリア。これからも良き師として君を導くように努力するよ」
「はい」
「また一緒にラッキースケベの被害者に謝りにも行ってね」
「…………はい」
「あと最後に――きっと過酷な目に遭うと思うけど、挫けないでね?」
「はい! ――え? それってどういう意味です……か?」
疑問を浮かべたアマリアの肩にウルが腕を乗せた。
不思議とたっそれだけのことで、アマリアは動けなくなってしまう。
「僕のようなどこにでも転移をするということはできませんが、近距離であれば連続して転移できるようになりました。できれば、目視できる範囲の転移をお勧めします。まだ不安定ですので」
「ほう」
「短い時間でよくここまで成長したと感心しています。僕は、転移をちょっと使うにも何ヶ月もかかりましたから。何度もしにかけたことでいつの間にか自在に使えるようになっていましたが」
「それはいいことを聞いた。喜べ、アマリア。これからお前に楽しい楽しい修行の時間をプレゼントしよう。魔力なんぞなくとも戦いには問題ないと教えてやろう。むしろ、転移を持つのなら、それを活用した戦い方を一緒に考えようじゃないか。なに、気にすることはない。手足が千切れても直してやる。――では、いくぞ」
「……………たす」
けて、と続けることができなかったアマリアはウルに担がれてしまう。そのままウルが窓から外へ飛び出した。
「まったくお姉様ったら、相変わらずですね」
「まあまあ、リーゼお姉様。ウルお姉様は才能がある子を見つけると我慢できないじゃありませんか」
苦笑するリーゼに、アリシアが懐かしんだ。
かつてのウルは才能が少しでもあると、まるでその目を摘まんとばかりに戦いを挑んだが、サムを育てたことで何か変化が起きたのだろう。
アマリアを強くしようとしていることが伝わってきていた。
ただ、共に姉妹として育ったリーゼとアリシアからすると、アマリアが想像した過酷な修行の数倍の目に遭うんだろうなと考え、無事に帰ってくることができるように女神エヴァンジェリンに祈った。
――数日後、少し逞しくなったアマリアが帰ってきた。




