43「女性陣の集いです」②
ギュンターは首輪をつけられてクリーの隣に着席した。
代わりにリーゼが話を始めた。
「本日はお集まりくださりどうもありがとうございます。さっそくですが、そろそろウルお姉様、オフェーリア、ゾーイ、綾音っちたちのサムとの関係を進めたいと思いこうしてお茶会を開きました」
ウル、オフェーリア、ゾーイ、綾音に緊張が走る。
それもそのはず、婚約者になったが関係はあまり変わっていなかった。
唯一の例外が、肉体関係から始まってしまった綾音が婚約者になったくらいだ。
ウルは冬の間に冬眠し、肉体を十代半ばまで成長させるのに時間を費やしてしまっていた。
オフェーリアはシャイト伯爵領の運営が忙しく、ゾーイは魔法少女業が多忙だった。
綾音も今は伯爵家で生活しているが、シスター見習いとしての時間を大切にしている。ただ、この中でサムと営みがあるので、ちょくちょく身体は重ねていた。ある意味、一番リードしているのが綾音だったのだが、問題も起きていた。
「今回、このような話になったのは――綾音っち、お願い」
「――――腰がもうやばいのよ!」
言葉こそ短かったが、その切実の訴えに女性陣は「あー」と納得した。
白雪だけが顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「私ね、一応元勇者で元女神なわけ。ついこの間までは手加減してサムの稽古をつけてあげたくらいなのよね。最近、サムはめちゃくちゃ強くなったけど、まだ私の方が強いのよ? じゃあ、なんでベッドでは勝てないのかしら?」
知るかっ、とこの場で叫ぶ者はいなかった。
全員が神妙な顔をしてしばし沈黙し、それぞれ意見を口にし始めた。
最初はリーゼだった。
「誤解がないように言っておくけど、サムは規格外の強さになるよりも夜は凄かったわ」
同調し、頷くのはアリシア、ステラ、フラン、水樹、花蓮だった。
「サム様はその、お優しいのですがなんといいますか、持久力がとてもすごくて」
子竜たちに慕われ母になって精神面が強くなったアリシアだが、自身と夫の営みを話すことに抵抗はなくとも恥ずかしさはあるようだ。
白雪ほどではないが、頬は赤い。
「私もアリシアに同意見です。とても優しいのです。乳母やメイドから聞いていた男性とのあれこれくらいしか知識はありませんでしたが、その知識の十倍は優しいのです。その優しさにとろとろにされてしまうといいますか……はい」
ステラも顔に朱を差しながら自身の経験を訴えた。
王女や貴族の子女は、いずれ夫となる人のために「男女のあれこれ」を学ぶ機会が設けられている。
その教育では、良くも悪くも男性は独りよがりの場合が多く、女性は優しく受け止めてあげましょうというものが多い。
これは女性がつくしなさいという意味ではなく、どちらも初めての場合、なんだかんだと余裕がないのが男性なのだ。時には緊張のせいで臨戦体制にならなかったり、暴発したりしてしまうことがある。その時の対応で今後の夫婦仲の今後は決まって行くのだ。
女性がいるからこそ、男性は夫として父としてあることができるのだ。
――まあざっくり言えば、物語のようなロマンスな夜は最初は無理だし、いちゃいちゃは慣れてからね、ということだ。
しかし、サムは違った。
どこにそんな知識があるのかと絶句するほど、献身的にさまざまなことをしてくれたのだ。
おかげでステラをはじめ、妻たちは「学び」がきちんとできるようになるまで時間を要した。
何事も例外だらけのサムなので、ある意味夜は戦いなのだ。
もちろん、いちゃいちゃもするし、幸せな時間であるが、終盤になると意識が朦朧としているのがいつものことだ。
サムが案じてくれても「大丈夫!」と言ってしまうのは、なんだかなだとサムと触れ合いが幸せでたまらないからだ。
その結果、体力が尽き果て、腰が痛くなるのだった。
「……サムは私たちの要望を叶えてくれるから、いろいろ試しちゃうのよね。そのあたりを私たちは情報を共有しているのだけどね。ウル様たちにはまだしていなかったから良い機会かと思ったのよ」
フランがそう締めくくる。
要は、今日のお茶会はサムのあれこれを共有すると同時に、ウル、オフェーリア、ゾーイも綾音があげてしまったスタートラインに並ぶべくベッドの魔王に挑むための勉強会である。
「――おかしいな。僕はサムとそんな感じのプレイはしていなのだが」
「……ぎゅんぎゅん様、ぎゅんぎゅん様、それは残念ですがぎゅんぎゅん様の妄想ですわ」
イグナーツ夫妻のやり取りを耳にしつつ、白雪はもう耳まで真っ赤になっていた。




