37「マニオン側の事情です」④
共闘を持ちかけてきたマニオンが今さらサムを裏切って後ろから斬りかかられるなどという心配はしていない。
対処できるできないの話ではなく、今のマニオン・ラインバッハがそんなことをしないと信じているのだ。
再会したばかりの、血のつながらない兄弟が何を、と思われるかもしれないが、一度手を合わせればわかる。
「――共闘を受け入れるよ」
「――っ、兄さん」
マニオンは目を見開き驚く。
自分で言っておきながら、受け入れられるとは思っていなかったのかもしれない。
「ただし、立場があるから手を取り合って仲良く戦いましょうとはできない」
「そう、だね」
「だから、お互いに戦いの邪魔をしないってことにしておこう。マニオンが神々と戦うかどうかわからない部分もあるからはっきり約束はできないってことはわかるよな?」
「――わかっている」
「戦う場合は、任せるからひとりかふたり、何人でもいいから倒してくれ」
マニオンの立場がはっきりしない以上、共闘の口約束しかできない。
無論、サムもマニオンをどうこうしようとは微塵も思っていない。
戦うのであれば、真正面から正々堂々と、だ。
「ありがとう、兄さん。僕のはっきりしない共闘の申し込みなのに」
「とはいえ、実際、ヴァルレインもマニオンも神々がやりたい放題すると予想しているんだろう?」
マニオンは頷いた。
「俺は、神だろうとなんだろうとこの世界と家族、友人を傷つけようとするのなら斬り殺す。マニオン、お前であっても例外じゃない」
サムは静かに、告げた。
「お前にはお前のすることがあるように、俺にも俺のすることがある。だから、目的が同じの部分が一致するのなら共闘しよう。できなければ、戦うだけだ。難しく考えることなんてないさ」
――サミュエル・シャイトのすべきことは、敵を全て斬り裂くだけ。
今までもこれからも変わらない。
サムはマニオンに向かって静かに手を差し伸べた。
マニオンも手を伸ばし、手に応じる。
「神々を殺した後に全力で兄弟喧嘩をしよう。前回のように途中では終わらない、最後まで全力の兄弟喧嘩だ」
「兄さん。――うん。邪魔者を排除して全力で兄弟喧嘩をしよう」
サミュエル・シャイトとマニオン・ラインバッハはよく似た笑みを浮かべて、力強く握手を交わした。
――こうして兄と弟の共闘がひっそりと決まった。
補足:サムくんはマニオンくんの立場を考えて曖昧な口約束しておりますが、内心では共闘するだろうなと考えています。マニオンくんもサムにの気遣いに感謝しつつも、きっと共闘することになるだろうと考えています。
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