30「綾音っちの優雅な一日です」③
朝食をシスターたちと一緒に取った綾音は、軽作業をしてからウォーカー伯爵家に戻る。
軽い昼食をリーゼたちと一緒に取りながら、子供たちと戯れるのだ。
子供たちは綾音に懐いてくれていて、リーゼや花蓮、水樹が鍛錬を始める時に預けられることが多くなった。子供たちも、メイドよりも綾音が良いようで、綾音に抱っこされる子はご満悦の顔をするが、残念ながら順番のせいで抱っこしてもらえなかったことはぐずってしまうこともある。
――実にモテモテであった。
そして、鍛錬が終わったリーゼたちと一緒に風呂に入り、女子トークだ。
この間は、メルシーたちとメイドたちが子供を寝かしつけてくれている。
メルシーたちもよき姉として、最近では心が成長したように思えた。
風呂に浸かりながら、「夜のあれこれ」を話をするのだが、サムは相手によって甘え方が違うことが判明した。
全員がすべて明け透けに話をしているのかどうか不明ではあるが、リーゼ、綾音、フランは甘えられることが多く、水樹と花蓮は甘えることが多いようだ。
ステラとアリシアは、いちゃいちゃの時間が長いらしい。
オフェーリアが「勉強になります」と言っていたのが印象的だ。
イーディス・ジュラという傑物が母にいるのだから、オフェーリアにはいろいろな意味で開花してほしくないとも思う。
ただ、彼女は母を反面教師にしているようなので、安心もしているが、人間いつどこでどんなタイミングで「スイッチ」が入るのかわからない。
オフェーリアは最初こそクリーの謎の威圧感に怯えていたが、最近では年齢も近いことがあって友情を育んでいる。
ギュンターが珍しく真顔でサムに「このままではサムが大変なことになってしまうから、交流を止めろは言わないが、話を全力で受け止めるのは控えるようにと君から言っておいてほしい。ひぇっ、ママ、いつの間に? 違うんです、言い訳をさせてください!」と助言をしつつもお約束の展開を繰り広げていたりするのが、若干の不安要素でもあった。
夕食はその日の話を楽しく話す貴重な時間でもある。
貴族の食事なのでマナーが、と言われるかもしれないが、最低限のマナーさえできていれば会話が弾んだって問題ない。
最近、みんなが気になっていることはエリカとヴァルザードの関係だ。姉と弟のような関係が少しずつ変化していっている姿に、みんなもほっこりだ。
ウルもリーゼもアリシアも「ウォーカー伯爵家の女らしい」と満足気味だ。
よく考えると、ウル、リーゼ、アリシアは年下のサムと結婚、婚約している。
エリカと関係が変化しつつあるヴァルザードも、外見年齢こそ青年だが、中身はまだ幼さが残る少年だ。
フランたちも、納得するように頷いているのが印象的だったが、綾音も人のことは言えなかった。
そして、夜。
軽く一杯ワインを飲んで、就寝する。
――これが最近の日比谷綾音の一日だった。
と、締めくくることができればいいのだが、まだ続きがあった。
「お母様ぁあああああああああああああああああああああ!」
「やっほー、またきたよー」
夢の中で息子と娘が今日もまた出てくるのだった。




