19「ついにこの時がきてしまいました」①
「はぁ。疲れた」
結局、クライド・アイル・スカイ国王陛下の提案した「祭り」はローガン、ジョナサン、デライトが順番に「腹パン」をして却下させた。
だが、サムにはわかる。クライドはまったく諦めていない。
しばらくはローガンたちが順番に「護衛」という名の見張りをすることとなった。
結局のところ、サムは戦うことに専念してほしいということになり、民の避難、誘導に関してはローガンたちが念入りに話し合いをしておくと言われてしまった。
神々に対しての戦力は、ウル、サム、カリアン、モンド、綾音、レプシー、友也、そしておそらくだが魔王フランベルジュだ。
彼女はウォーカー伯爵家で怠惰な生活をしているが、実は世界の意思の端末である。無論、彼女の心はフランベルジュのものだが、役割として神と戦うことがある。
一度、しっかり話をした方がいいと思う。
懸念は多いが、今は考えても解決しないことは他ならぬサムがわかっている。
「神」という未知数な相手と戦う以上、サムたちは土壇場で相手を見極め対応しながら戦うしかないのだ。
実にもどかしい。
できることならこちらから神界に攻め入りたいが、結局、それが可能だったとして、神々がこちらの世界に入ることが困難なように、サムたちもこの世界から出ることが困難のようだ。どちらにもリスクがあるし、一度閉じていた世界をこじ開ければ、「次」は容易く出入りできてしまうようだ。
無論、世界の意思が「次」をさせないように世界を修復するようだが、どうしても一定数の時間がかかるようだ。
なんだかんだと言って、後手にはなるが迎え打つことが最適解だと言える。
「ところで、なんでギュンターがしれっと屋敷に一緒に帰ってきているんだよ! 自分の屋敷に帰れよ!」
「ははは、つれないことを言わないでくれたまえ。クリーママがウォーカー伯爵家でお世話になっているからね。今夜は泊めていただくよ」
「……そういえば、そうだったね」
共にウォーカー伯爵家に帰ってきたのはギュンターだけではない。
カリアンと友也も一緒だった。
カリアンはせっかくなのでひ孫の顔を見にきたのだが、友也は万が一に備えていつでも転移ができるようにサムの近くにいることになっている。
友也は最近、マクナマラとカリアンと一緒に暮らすための屋敷を買ったのだが、まだ住むには準備が必要のようだ。
使用人を雇うとこから始めなければならず、ラッキースケベに耐性がある者を探すのはなかなか難しいらしい。
レプシー一家も家族が生活できる小さな家を手に入れてそちらに移住している。
宮廷魔法使いとなり爵位を得たものの、屋敷などはいらないとのことだ。家族だけで慎ましく穏やかな生活ができればいいと本人が言っていた。
ウルの家族であるファレル一家も同じく家を買って伯爵家から出ていった。
この場合、宮廷魔法少女であるキャサリン・ドミニク・ジョンストンが自身の「弟子」である新たな魔法少女のミシャ・ファレルとレスリー・ファレルのためにいくつか所持している物件を快く譲ってくれたのだ。
しっかし、魔法少女の衣装や武器を収納する部屋まで用意されているお約束のような屋敷だが、かつて彼らが暮らしていた屋敷よりも一回り大きく良い屋敷だった。
キャサリンも文字通り「譲る」と言ってくれて金銭は一切要求しなかったのだ。彼女にとって、才能ある魔法少女が快適に生活できる環境を整えることは当たり前であるのだ。
スカイ王国の平和は魔法少女たちに守られていると言っても過言ではない。
最近、ウルがミシャがより女性に見えてしまう、イタズラ小僧だったレスリーがどんどん可愛くなっていってやばい、と嘆いていたがサムには残念だが何もできない。
そんなウルは時々、ファレル一家のもとを訪れている。家族仲はどちらも良好だ。
「ところで、麗しのサム」
「……なんだよ」
「お互いに多忙だったせいもあるけれど、そろそろ僕にサムの可愛いベイビーたちと会わせてくれないかな?」




