7「世界さんのサービスです」②
世界の意思が余計なことを言ってしまったのでぐだぐだになってしまったが、張本人である世界の意思が話を軌道修正した。
「私は世界の意思。世界そのものです。神々と違いできることは少ないですが、この場にいるすべての方々とご家族に――祝福を」
柔らかな風が吹いた。
サムは身体が軽くなった感覚を覚える。
他の面々も、身体に少し変化があったようで不思議そうな顔をしていた。
「私は世界の意思。すべての者を平等に扱う必要がありますが、今回神々と戦うことを是としてくれたあなた方に気持ちばかりですが祝福を与えました。あなたたちが善良な人間である限り、祝福は消えません」
「世界さん、祝福ってどんな効果があるんですか?」
「本当に些細なものですが、大病を患わないなどです」
「……それ、すっごくありがたいんですけど」
「ただし」
世界の意思の姿が消えた。
瞬く間の出来事だった。
「――あなたは別です、イグナーツ公爵」
「……な、にが」
「……あなたは自覚症状がないようですが、病魔に侵されています。このままでは三年と生きられないでしょう」
「――っ」
世界の意思はイグナーツ公爵の背後に立っていた。
そして、耳を疑うことを言う。
サムやクライドだけではない、病を告げられたイグナーツ公爵と、息子のギュンターが大きく目を見開き絶句していた。
「……そう、ですか。いや、だが、諦めていたギュンターの孫が見られるのであるならば心残りはありません」
「父上!」
「……言葉が足りず申し訳ありません。イグナーツ公爵は大病を患っているので、祝福し治します」
「――え?」
再び驚くイグナーツ公爵だったが、すぐにさらに驚くこととなった。
「――病を治しました。改めて、今後あなたがあなたである限り大病を患うことはないでしょう。しかし、これは全員に当てはまりますが、不摂生なことをすれば祝福があっても病を患うでしょう。お酒はほどほどに、働きすぎもよくありません、ストレスをためず程よく運動をし、栄養とバランスの良い食事を心がけてください」
「……はい。世界の意思様、心より感謝します」
イグナーツ公爵は涙を流した。
自身が気付かぬうちに病を患っていたとは夢にも思わなかったのだ。
その病が命を蝕んでいることもまるで気付かなかった。
だが、世界の意思によって、病は取り除かれた。
ただただ感謝の気持ちしかない。
「とはいえ、幾人か悩みを抱えているようですね。私はエヴァンジェリン・アラヒーのようにわかりやすい力はありませんが、このくらいならできます」
再び柔らかな風が吹く。
「――おおっ、私の、私の髪が!?」
禿頭の貴族の頭皮からキューティクルな髪が生えた。
肩まで伸びた髪を、ふさぁ、と手で触る初老の貴族。ちょっと変な絵面だ。
「つ、不毛な大地だったはずが、妻や娘よりも素敵な髪になってしまった! ありがとうございます!」
次々と貴族たちに変化が起こる。
世界の意思の祝福は、貴族たちに幸せを運んだ。
全員が涙を流し、祝福に感謝する。
「――世界の意思よ!」
「はい。ゾーイ・ストックウェル」
「その力で私をナイスバディな大人の女性にすることはできるのか!?」
「……残念ですが、あなたは貴重なロリ枠ですのでできません」
「……ロリ枠ってなんだ……なんなんだ?」
人間から吸血鬼に転化した時の年齢から成長することがないゾーイが世界の意思に願ってみるが、残念なが叶わなかった。
「申し訳ありません。私は世界の意思。神ではないのです」
「……そうか、いや、わかった。ありがとう」
ゾーイは肩を落としてしまった。
体型を気にしていたのか、とサム、レプシー、友也はちょっと驚いた。
「はい! 世界の意思殿!」
「はい、クライド・アイル・スカイ」
「私は、最近、妻たちとの営みの中でハッスルできる回数が減ったのですが」
「――それは歳のせいです。むしろ、ハッスルしすぎです」
「がーん」




