3「隔離されている様です」
「……なんというか、スカイ王国貴族はスカイ王国貴族だったな」
会議の小休憩中、準魔王ゾーイ・ストックウェルが大きく嘆息した。
「俺も同感かな。浅くしか付き合いがなかった貴族さんたちが、みんな立派なスカイ王国貴族だったから涙が出そうだよ」
「苦労するな、お互い」
「うん」
サムはゾーイと固く握手を交わした。
「……スカイ貴族は昔からこんなのだが、それよりも成長した私を見て気絶した貴族たちはしばき倒したいんだが」
「まあまあ、ウル。落ち着いて」
一度は亡くなったが異世界に転生した後、この世界に戻ってきたウルリーケ・ウォーカー・ファレルは貧乏ゆすりをしながらお怒りだった。
ことの発端は、会議室に集まった時に遡る。
サムと歳の変わらないくらいに成長したウルを見た貴族が「ひぃっ、スカイ王国の破壊神が復活してしまった!?」と騒ぎ出したのがきっかけだった。
次々に、ウルが若かりし頃に暴れた時のトラウマを抱える貴族たちが、気絶し、涙を流し、神に祈り始めた。
幸い、ウルがキレるよりも早くにイグナーツ公爵とジョナサン・ウォーカー伯爵が取りなしてくれたおかげで混乱は一時的に収まりなんとか会議ができたのだった。
「あのジジィども、少し屋敷を燃やしたり、親族をぶっ飛ばしたりしたくらいなのに」
「あのね、ウル。十分すぎるほどやっているからね。恐れられるくらいだからね?」
破壊神扱いされるのも仕方がないことだった。
「……もしかして、僕たちだけがこの部屋にいるのは色々な意味で隔離というわけじゃないですよね?」
友也がなんとも言えない顔をして、そんなことを言った。
部屋の中にいるのは、サム、ウル、ゾーイ、友也の四人だ。
「いや、おかしい! 私がこの四人と同列にされるのは意義あり!」
「というか、ギュンターとレプシーもいないじゃん! あのふたりはこっち側でしょうに!」
「レプシー様はさておき、ギュンター・イグナーツが我々と違うだと……はっ、度し難い変態様の部屋が準備されているのではないか!? ……おい、変態大魔王、部屋を間違えているぞ」
「酷すぎます! 僕だって悲しかったら泣くんですよ!」
「知るか!」
なんとも不毛な会話をしていると、部屋の扉が勢いよく開かれた。
「やあやあ! 遅れてしまって申し訳ない! 僕がいなくてさぞかし寂しい思いをしただろうね。謝罪するよ。実を言うと、クリーママのファンに頼まれていたサイン本をお渡しする約束をしていた方々いたのでね、この機会に手渡してきたということさっ!」
「……誰もお前など待っていないんだが。というか、やはり我々は同列に見られていたのか、悲しい」
薔薇を加えて部屋の中に入ってきたギュンター・イグナーツの登場に、ゾーイが肩を落とした。
他の貴族たちが、ここではない他の部屋にいることを知ってしまった以上、隔離されている確信ができたのだろう。
「……許さん、これもすべて神々だかなんだかわからないが用もなくこの世界に害を与えようとする奴らだ。このゾーイ・ストックウェルが叩き切ってくれる!」




