91「友也とロバートです」
綾音が過去から届いた手紙に涙を流している頃。
「――魔王遠藤友也ちゃま」
「……はい」
食堂で赤ん坊姿のロバート・アイル・スカイと一緒にお茶を飲むことになった友也は気まずくてならなかった。
友人が心労をかけた国の前国王であることもそうだが、本来ならば初老の男性が赤ん坊になってミルクを飲んでいる姿を直視できない。
先ほどまでいてくれたメイドも「この空間にいたくないので外にいますのでご用の際は心の中でお呼びください」と言い残して食堂の外だ。
「以前も言いまちたが、友也ちゃまからはボクちんと同じ匂いがちまちゅ」
「……いえ、あの」
「ボクちんの見立てが間違いなければ、友也ちんも生粋のバブバブの素質がありまちゅね」
「ぶっ殺すぞ、てめぇ」
「――ふぇ」
「はははは、冗談です。冗談! 魔王ジョーク! だから泣かないでくださいね! 僕は絶対にあやしてあげませんからね!」
つい、ドスの効いた声を出してしまった友也だったが、一応でも相手は赤子だ。
泣かれても対処ができない、いや、したくないとすぐに笑みを浮かべた。
「ちゅみまちぇん、この身体でちゅと肉体に精神が引っ張られてちまうのでちゅ」
「……エヴァンジェリンに呪いを解除してもらってくださいよ」
「女神エヴァンジェリンちゃまのお手を煩わせることはできまちぇん。それに、ご本人が、どうなってもちらないという条件で赤ちゃんにちてもらいまちたとので、たぶん解けないようでちゅ」
「……まさに呪いですね」
「ノン、ノン。祝福でちゅよ」
ロバートにとっては祝福のようだが、友也にとって、もちろんエヴァンジェリンにとってもこれは「呪い」である。
「ちゃて、本題でちゅが、お礼を」
「お礼、ですか?」
「友也ちゃまとレプシーちゃまがスカイ王国国民としてこの地に根を張ってくだちゃると正式に決まったとききまちた」
「はい。サムもいますし、縁もできました。少なくとも百年ほどお世話になる予定です。その後は、まだ決めていませんが」
マクナマラの間に子供ができて、その後もスカイ王国と縁があればこの地にいることおもよいだろう。
だが、魔王の身であれば長く生きていく。家族が仲間を見送ることは寂しい。
(――とはいえ、これから百年の生活のためにも女神ヴァルレイン、戦神ディーオドールを倒さないといけないんですけどね)
「お礼に、というわけではありまちぇんが、友也ちゃまにも王家のビンビンと王家のばぶばぶを伝授ちたく」
「結構です!」
「遠慮ちないでくだちゃい。先ほども言いまちたが、友也ちゃまからはボクちんと同じ匂いがちまちゅ。いずれ、奥方となる方に毎日アヘ顔ダブルピースちゃれてからばぶばぶがはじまるでちょう」
「そんな予言やめてくれます!? ていうか、あなたがばぶばぶ、クライド陛下がビンビン、ロイグ殿はわからせ、サムは夜の魔王ってどんな一族ですか!?」
「……きゃきゃきゃ、こんな一族でちゅ!」
「あ、はい」
「ちょっと真面目ははなちになるのでちゅが」
ロバートの声のトーンが変わる。
「はい?」
「友也ちゃまが最近、幼女にラッキーチュケベをちているという報告があったのでちゅが、さすがにその辺りは見過ごせないといいまちゅか」
「誤解です!」
「ラッキーチュケベはちていないんでちゅね?」
「いえ、していますが」
転移能力を持つ少女アマリアを弟子にして育てている友也は、当たり前のごとくラッキースケベをしていた。
そもそも遠藤友也がラッキースケベしないわけがない。
自然災害のようなものだ。
「誤解じゃねーでちゅ」
「違うんです! 聞いてください! 噂になっているのもわかりますし、僕も申し訳ないと思っているのですが、彼女はすごく成長しています! このまま育てれば一角の」
「ばぶばぶになると?」
「そうです! 一角のばぶばぶになりま――なんねーよ! なんでだよ! 転移能力者としての話だよ! お前、いい加減にしないとそのおしゃぶりを窓の外に放り投げるぞ!」
次回はヘイゼルばーばとロバートじーじとラッキースケベ大魔王という謎のメンツでのお話です!




