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82「ヘイゼルの過去と継承魔法です」②




 なんでもそつなくこなしてきたヘイゼルにしても、「継承魔法」は難しかった。

 初めて「努力」というものをした。

 ひとえに、代々継承されてきた想いを知りたいということからだった。


 そして、見事ヘイゼルは継承魔法を習得した。

 いずれ自分も継承させなければならないからだ。


 継承魔法を覚えたことにより、母から継承された過去からの「想い」は重く、そして悲しいものだった。


 ルーシェル・カイト。

 はるか遠い時代を生きた悲しい青年。

 妹アイリーンと共に戦ばかりの時代を生きた傑物。

 勇者を母に、叔母を聖女に持ちながら、両者が憎み合うことを苦悩していた。

 そして、母は妹を殺し、妹が復活し母を殺し、母が復活したが長い戦いの果てに封印された事実。


 そんな母たちを見ていることしかできなかった息子の苦悩の日々が綴られている日記、そしていつか届くことを祈った母の手紙と記憶だった。


 残念ながら、アイリーン・スカイは継承魔法を習得することはできなかったようだが、代わりに兄ルーシェルに母への手紙と記憶を託しているとしった。


 驚くべきことき、ルーシェルは継承したすべてのものを継承者が見ても構わないと残している。


 ヘイゼルが好奇心に駆られて彼の残したものを見たのは言うまでもない。


 ――そして、彼の残したものに目を通したヘイゼルは、必ず継承させなければならないと決意した。


 しかし、人生とは上手くいかないものだった。

 まず、ヘイゼルには娘が生まれなかった。

 王家的には息子が生まれたことは良いことであったが、ヘイゼル的には困った。

 ルーシェルは継承魔法に何か細工をしたようで、「女性だけ」にしか継承できないのだ。

 おそらく、彼は男性というものを信じていなかったのだろう。


 実家であるグレン侯爵に令嬢はいたが、継承魔法を覚えることのできる素質を持つ者はいなかった。

 いずれ、孫の世代に託せばいいと考えていたが、ステラもレイチェルも良い子であり、秀才であるが魔法に関しては継承魔法を覚えられるほどではない。


 グレン侯爵家でも同じだった。

 そこで、ヘイゼルが目をつけたのが、ウルリーケ・シャイト・ウォーカーだった。


 親戚筋でもある子ならば、継承させても問題ないと思った。

 実際、ウルは魔法の才能に溢れ、魔法に対し貪欲だったため、すでに継承魔法を習得していた。

 しかし、彼女はふらりといなくなってしまった。

 後になって、病を患っていたことを知ったが、すべては彼女が亡くなったあとだった。


 ウルの亡骸を届けたサミュエル・シャイトは魔法の才能に恵まれた将来有望な少年であり、継承魔法まで習得済みだった。

 だが、遠い先祖は継承先を女性でなければ駄目だとしている。


 ヘイゼルは悩んでいた。

 幾人か才能のある子女を見つけていたが、彼女たちに継承させるべきか悩んだ。

 受け継いだ記憶の中には、失伝した魔法や、遺物の隠し場所まであるのだ。

 心から信頼できる人間でなければ、託すことはできない。


 すでに、相談できる者はおらず、ヘイゼルも根をあげそうだった時――。





 ――どこからともなく、ルーシェル・カイトの母親日比谷綾音本人がひょっこり現れたのだ。






 息子の家名が「カイト」であることはきちんと説明されますのでお待ちを。


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