64「ラッキースケベおじさんの勧誘です」①
「……大変失礼しました。長いこと悩んでいたラッキースケベに一筋の光が差し込んだせいでハイになってしまいました。驚かして申し訳ございません」
雪の降る外で頭を冷やした友也は、いつもの冷静さを取り戻してみんなに謝罪した。
「うん。普通に怖かったからね。きっと子供もトラウマになったと思うから、ちょっとでも悪いと思うのなら、その線からこっちに来ちゃ駄目だよ」
「……椅子に縛られているのですから、動けやしませんよ!」
「ラッキースケベパワーで動くかもしれないじゃん!」
「ひどい!」
「さっきの言動を見れば妥当だよ!」
椅子に手足、腰を念入りに縄で縛られ、いくつかの封印術を施された友也が泣くが知ったことではない。
さっきの「ラッキースケベおじさん」はトラウマレベルのホラーのようだった。
人は、なりふり構わなくなるとあんなにも恐ろしくなれるのかと学んだ。
「それで、あの子に転移がどうこうって言ったけど、その辺をちゃんと話してくれるかな?」
サムがちらり、と自らが助けた少女を見る。
まだ年齢は十歳ほどだろうか。
栄養不足で痩せているのでよくわからない。
身体を綺麗にして、スカートを履くと、かわいらしい。
少女の名は、アマリア。
母親は健在だが、栄養失調の他、暴行を長時間受けた形跡があり、いち早く回復魔法を使用された。
だが、体調の悪さを訴えていることから、教会に所属する医者によって診察されている。
その間、身寄りのない子供たちと一緒にこの場で預かっていた。
「名前は存じ上げませんが、彼女から僕と同じ力を感じます」
「……ラッキースケベじゃないよね?」
「違いますよ! 転移の方です! あと、ラッキースケベは力じゃなくて、体質ですからお間違えなく!」
「どうでもいいわー」
ふざけたように聞こえるやりとりであるが、大変なことである。
魔王遠藤友也、準魔王カルミナ・イーラだけが持つ「転移」をアマリアが持っているというのなら、彼女の未来はどうなるのだろうか。
「もしかして、転移を持っている人って意外といるのか?」
「いいえ。僕は定期的に同じ転移を持つ者を探していますが、見つけたことはありません。力に気づいていないという可能性がないとは言えませんが、それでも彼女のように会えばわかります」
すべての人間、魔族と会ったわけではないので絶対にいないとは言い切れないが、友也が探した年月の間にひとりも転移を持つものはいなかった。
「転移は便利ですが、使い方を誤ればすぐに死んでしまう諸刃の剣でもあります。僕自身、力になれない頃は、なんどか酷い目に逢いました。もしかしたら、転移のミスで死んでしまった者もいるのかもしれませんね」
聞けば、手足の延長線上として使える転移ではあるが、身体の一部同然とは言え、ミスは起こる。
手が誤って物を落とすように。足が誤って躓いてしまうように。
転移の場合は、見知らぬ土地にいって帰って来られなくなる。
水の中や、空中に転移してしまう、など魔法を使ってなんとかなった場合もあるようだ。
これが、力がない子が、いきなり海の中に転移してしまったら、大事件だ。
空なら、飛べなければ、落ちて死んでしまうだろう。
パニックを起こせば、転移だって簡単に使うことはできない。
便利な能力であるが、危険は伴うのだ。
「そこで、提案です」
友也はアマリアを見て、にっこり微笑んだ。
「ラッキースケベおじさんの弟子にならないかい?」
「ひぃっ」
――なんでそこでラッキースケベおじさんって言ったんだろう?
サムだけではなく、この場にいたすべても者がそう思った。
シリアス先輩「シリアスだぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
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