間話「実は裏ではぎゅんぎゅんが」②
「サムエル・カイト様という素敵なお名前のサムお兄様の前世の方がどうしたというんですの?」
「話すと長いのだがね」
「短くお願いいたしますわ」
「……はい」
ギュンターは、雰囲気を出して目を細めて窓の外を見たが、クリーはさっさと話せと催促する。
全裸のギュンターは、きゅっ、と尻を引き締めて語り出した。
「サムエル・カイトくんは、日比谷綾音くんと白雪くんとラブトライアングルをしていた人間さ」
「まあまあ! 綾音様はさておき、白雪様も過去には恋愛事情があったのですね!」
「しかし、外部からに影響があったようで、姉妹仲は悪くなり、サムエルくんとも死に別れてしまったのさ。そしてなんやかんやあって、今のサムがいるんだ」
「短くお願いしたのはわたくしですが、めっちゃ端折りましたわねぇ」
「はっはっは! かつて全知全能だったかもしれない僕も、今はエッチ健康でしかないからね! 当時のことは知らない。だが、だからこそ、当時からこの世界に生きる姉妹のために手助けをしたかったのさ」
「さすがぎゅんぎゅん様ですわね!」
「まあね!」
きらん、と歯を光らせて、全裸のままポージングを決める。
「サムの力だけではサムエルくんが表に出てくる時間はあまりにも短い。そこで……僕の力を使ったのさ。本当にこれで最後だよ。もう何も出ない」
「ぎゅんぎゅん神としてのお力がまだ残っていたのですか?」
「いや、もうないさ。代わりに僕自身を削ったよ」
「――っ、まさかお命を!?」
「いや、ビンビン力さ」
「なんて大きな犠牲をお支払いに!」
クリーの瞳から涙が溢れた。
ギュンターがサムに大きな愛情を抱いていることも、家族愛が強いことも知っている。それでも、身を削って誰が喜ぶだろうか。
「陛下に負けず死ぬまでビンビンの予定だったが、今回支払った代償で――八十歳くらいにはビンビンでなくなってしまうね。すまない、ビンビンでなくなった僕を捨てないでくれると嬉しい」
「……さすがにわたくしも八十歳のぎゅんぎゅん様にビンビンは求めないと思うんですが」
「え?」
「え?」
ギュンターは心底驚いた顔をした。
ギュンターが八十まで生きるかはさておき、その時にはクリーだって七十手前だ。
さすがにクリーだってビンビンではない。
「どうやらぎゅんぎゅん様はわたくしを誤解しているようですね」
「――ぴ」
クリーの雰囲気が変わったことで、ギュンターは自分が何かを間違えたことを察した。
「レッスンの開始ですわ。ビンビン力とは鍛えられることを教えて差し上げましょう!」
にたぁ、と微笑んだクリーに、ギュンターは悲鳴を上げることさえできなかった。
前回の①の続きです。
シリアスが続いていたので、そっと箸休めに。




