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83「サムと商人です」①





「ちょ、ちょちょちょ、待て、サム!」

「あ、デライトさん。おはようございます」

「おう、おはようさん。――じゃなくて!」


 サムはデライトににこやかに挨拶をすると、彼は頭痛を覚えたようにこめかみを揉む。


「移住者とか守護者とかよくわからねえ言葉をポンポン出されても困るんだがな。なにが起きてどうなっているのか、おっさんでもわかりやすく説明してくれや」

「えっと、ウルと一緒に朝走っていたら壁の向こうにゴーレムさんたちがいまして」

「――ゴーレム!? まじか! 本物のゴーレムがいたのか!?」

「ええ。俺も驚きましたけど、近所に住んでいたゴーレムさんみたいですね」

「……マジかよ。王都のそばに、つーかスカイ王国にゴーレムがいるのかよ」


 伝説的な存在であるゴーレムがいたという事実に、デライトは信じられないという顔をしている。

 同時に、好奇心を抑えられないという表情だ。

 もちろん、サムの言葉が嘘ではないとわかっている。


「それで、話をしてみたら」

「意思疎通できたのかよ」

「エヴァンジェリンも手伝ってくれたんです。それでですね、ゴーレムさんたちはスノーデン王国で暮らしたいって」

「――はぁ!?」


 驚いたのはデライトだけではない。

 グレゴリーやボーウッド、エリカ、そしてオーネィだ。


「サム殿、それはどういう意味なのだろうか?」

「ゴーレムって巨大な個体だと、山になっているらしいんです。人と触れ合いたいけど、怖がられてしまうからって、人知れず実りを与えてくれているようなんです」

「……なんと」

「精霊の噂で、スノーデン王国に人が集まると聞いたようで、ぜひに、と」

「……待ってほしい、ゴーレムのいるいないの真偽を疑うわけではないが、ゴーレムたちがスノーデンに住みたいと申しているのか?」

「はい。あ、もちろん、一緒に生活するってことではなく、ゴーレムたちがスノーデン王国の山となり土地となってくれるそうです。ゴーレムの身体の上ならば、実りは多く、また山となることで寒い風を抑え、モンスターへの牽制をしてくれるようです」

「……信じられぬ。だが、あまりにも都合の良い申し出だ。その対価に、我々はなにをすればいいのだ?」


 グレゴリーの心配ももっともだ。

 ゴーレムたちのおかげで国がよくなることは喜ばしいが、その対価になにを払えばいいのか想像ができない。

 サムの言葉通りにゴーレムが力を貸してくれるのであれば、対価など想像できない。


「結構重要な対価ですよ」

「――聞かせてくれ」

「ゴーレムたちを民として認めることです」

「……なんと」

「精霊や、山、そういう自然の存在ではなく、力を貸してくれるゴーレムたちをスノーデン王国が続く限り民として受け入れてほしいそうです。王族だけではなく、その地に住まう人たちが、ゴーレムという優しい彼らと一緒に暮らしているのだと、知ってほしいそうなのです」


 どこまでも優しいゴーレムたちの対価を聞き、グレゴリーは涙を流した。


「受け入れよう。いや、受け入れさせていただきたい。ゴーレムの伝説は知っている。彼らがいれば、国が豊作になるという伝説は、スノーデン王国にもある。そんなゴーレムが、我が国の土地にきてくれると言うならば、我はなんでもしよう!」

「ありがとうございます。ならば、ぜひ、ゴーレムたちと会ってくれませんか? まだ、王都の外にいますから」

「無論だ! 喜んで伺わせていただく!」


 グレゴリーが快諾してくれてサムはほっとした。

 いきなりゴーレムと言われて信じてもらえるかわからなかったが、話がスムーズに進みそうでよかった。


「あの」

「はい?」

「よろしければ、僕も同行させていただけないでしょうか? もちろん、余計なことはしませんし、口も開きません。ゴーレムを見たいのです!」

「えっと、まあ、いいんじゃないですか。でも、どちら様ですか?」


 オーネィを知らぬサムが問いかけると、彼は立ち上がり佇まいを整えた。

 そして、手を差し出す。


「商人のオーネィ・ショ・タスキーと申します」

「サミュエル・シャイトです。よろしくお願いします、おねショタ好きさん!」





 サムにはそう聞こえたんです! 悪意はないんです!

 ※ちなみに、最初はオーネィ・タスキーでした。

 何も考えずに響きで名前を考えていたんです。するとどうでしょう。ショが入ると大変なことになると気づいたんです!

 どう大変かはさておき、偶然生まれたんです! 

 名前以外は初期設定です! 奇跡! これもエヴァンジェリン・アラヒー様のお導きです!

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