64「告白です?」①
「まずはお立ちなさい。そのままではお話ができません」
カリアンが促すと、メイ・リー・リーは素直に従った。
立ち上がった彼女はカリアンが知るよりも少し痩せているように思えた。
まだカリアンが神聖ディザイア国を離れてそう時間は経っていない。
神聖ディザイア国の良心とも言えるモンド・ムンドまで国を離れてしまったのだから、真っ当なメイ・リー・リーに苦労をさせたことは説明されずともわかる。
いまだに女神の首を奪ったことは理解できないが、彼女なりになにか理由があるのだろとも思っている。
「……少し、痩せましたね。私に尋ねる資格はないのでしょうが、お元気でしたか?」
「はい。カリアン様、そしてモンド様もお元気そうで何よりです」
「……女神の首を奪ってから、まさか一緒に行動しているとは思いませんでした」
「――ご不快であれば謝罪します」
「いいえ、不快などと。しかし、説明をしていただきたい。女神を倒すことが私の悲願。なぜ、それを邪魔したのでしょうか?」
カリアンに敵意や殺意はない。
仮にも娘として育てたメイ・リー・リーに危害を加えようとは微塵も思っていないようだ。
「ちょっと待ちなさいよ!」
「……話し合いの邪魔をするな、お前は黙ってろクソ女神」
「いだだだだだだだだっ、い、いーや、黙らないから! おい、カリアン・ショーン様!」
ウルに関節を決められながらも、綾音は引かなかった。
「……なんでしょうか、女神殿」
「私のこと女神だなんて思っていないでしょう。綾音と呼んでいいわ」
「……ふむ。では、綾音殿。あなたのお話とは?」
「カリアン様が私を恨むのはわかるわよ、奥様を私の復活に捧げられて、しかも無駄死にだもんね」
「おい、こら! 無駄死にとか言うんじゃねえよ! へし折るぞ!」
「ぎゃぁああああああああああああああああ! で、でも、ね、私が生贄を捧げろなんて、あのストーカー男に言ったことはないわ? つーか、あいつが私の復活のために千年以上も動いていたなんて知らないから! こっちにしたら、せっかく復活したのに恨まれているとかいい迷惑なんですけど!」
めきめき、と身体が軋む音がして、激痛が襲うが、綾音は必死に訴えた。
「あの男は私が殺してあげたじゃない。そりゃ、敵対したからサムをボコボコにしたけど、カリアン様にそこまで恨まれても」
「……サムは私の孫です」
「おう、ジーザス」
「ちなみに、妻が命をかけてあなたの復活のために命を犠牲にしたことに関してはあなたを恨んでいません。私が最も憎んでいたのは、アルフレッド・ポーン教皇でした」
「な、なら」
「それはそれとして、これはこれです。妻が最後まで信じた女神が、俗物であることが我慢できないのです。申し訳ございませんが、私怨です」
「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああ」
和解など無理だと理解した綾音は絶叫した。
サムくん「ねえねえ、なんで日比谷綾音っておじいちゃんのことをカリアン様って呼んでるのかな?」
ゾーイさん「知るか!」
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