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63「女神の事情です」②





「――女神よ! 日比谷綾音が現れても我々はエヴァンジェリン・アラヒー様こそ唯一絶対の女神だと信じております!」

「あ、あのな」

「我々の悩みに耳を傾け、時には叱咤激励してくれたエヴァンジェリン様こそ、我々の女神様です!」

「いや、だから。あと、お前のしたのは叱咤激励じゃなくて、キモかったからぶん殴っただけだから!」

「エヴァたん!」

「おい、誰だ!? ダーリンにも呼んでもらったことのない略称で馴れ馴れしく呼びやがったのは、前に出てこい! 尻を蹴り飛ばしてやる!」

「ありがとうございます! ――はうんっ!」


 愛の女神エヴァンジェリン・アラヒーを祀る大聖堂には、スカイ王国の重鎮たちが雪が降ろうと構わず祈りを捧げていた。

 祈りというと荘厳な雰囲気を想像してしまうが、スカイ王国風は少し違う。

 目の前に降臨している女神エヴァンジェリンに直接声をかけ、お返事をもらえる。至高のお祈りだった。


「ず、ずるいぞ、貴様! エヴァにゃんにケツキックだと!?」

「おい! エヴァにゃんってなんだ!? お前ら、隠れて私のこと可愛く呼んでんじゃねーよ! おい、ギザギザしたトゲのついた棒を持ってきて何しろって言うんだよ? 嫌だぞ、はぁはぁすんな! 私の力でこんなのでぶん殴ったらぐちゃってなるぞぐちゃって! おい、なんではぁはぁが強くなるんだよ! 絶好調だな、スカイ国民!」


 最初こそ王宮にいたエヴァンジェリンだったが、信徒たちが神殿に集まってしまったことから、王宮を母に任せてこっちにきているのだ。

 竜王である母なら、弱体化している女神を相手にしてどうこうされるとは思わない。

 スカイ王国王都の城壁の外には、兄青牙と姉青樹が竜の姿に戻って万が一を考えて身構えていた。

 そんな竜の兄と姉と共に、スカイ王国が誇る魔法少女キャサリン・ドミニク・ジョンストンと、クリー・イグナーツの母でありキャサリンのライバルであるシフォン・ドイグ男爵夫人が揃って魔法少女の衣装を身につけ共に守護についていた。


 他にも魔王、準魔王がスカイ王国王都を厳重に守っている。


「エヴァンジェリンたま」

「……たまって言うんじゃねえよ」

「今こそ勃ち上がる瞬間です!」

「……ちょっとイントネーション違くね!?」

「聞けば、女神を名乗る不埒者が現れるとか! ならば、真の女神様であらせられるエヴァンジェリンたまが圧倒的な女神力を見せつけるべきではないでしょうか!」

「……どちらかっていったら、勝手に女神名乗ってるのはこっちなんだがな」

「そのようなことは些細なことです!」

「そうかなぁ」

「我々弱者に手を差し伸べず、いるかいないかわからないような神よりも、こうして私たちと共に生き、歩んでくださり愛の女神エヴァンジェリン様こそ女神なのです! もし、絶対的な神が降臨したとしても我々の忠誠は変わりません!」

「――お前ら」


 エヴァンジェリンは感動した。

 邪竜として魔王として恐れられたことしかないエヴァンジェリンの居場所はスカイ王国にあったのだ。


「ったく、面倒臭え奴らだ。いいだろう、そんなに私が女神だっていうのなら、女神らしくてめえらを救ってやる!」

「ははぁ!」

「まずは、パチモン女神をぶっ殺してくるぜ!」


 エヴァンジェリンは器用に竜の翼だけを展開する。

 信者たちから涙が溢れた。


「嗚呼、なんと神々しいお姿」

「……眼科行け。ま、いいや! 少し待ってろ、スカイ王国は私に任せろ!」

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 信者たちの雄叫びを背後に、エヴァンジェリンはスカイ王国の空を飛んだ。






 女神エヴァンジェリンVS女神日比谷綾音の予感!?


 最新コミック2巻が発売となりました! ぜひお読みいただけますと幸いです!

 コミックウォーカー様、ニコニコ漫画様にて、コミカライズ最新話が公開されておりますのでぜひご覧になってください!

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