61「歓迎です」②
「いやぁ、私はお前のことが忘れられなかったんだぜ?」
「ぴぃ」
「あの日、殺しきれなかったせいで、寝ても覚めても考えるのはお前のことばかりだ」
「そ、そそそそ、そう」
満面の笑みで綾音の肩をとんとん叩くウル。
場違いなほど、彼女の笑顔は輝かしい。
対して、綾音の表情は真っ青で、今にも気絶しそうだった。
(よっぽどウルに殺されかけたのが怖かったんだろうなぁ)
まかせろ、とウルに言われてしまったので少し離れている場所で見ているサムが、ちょっとだけ同情する。
サムの記憶にある限り、ウルに挑んだ者の大半が死んでいる。生きていても、綾音同様トラウマを刻まれている。
唯一の例外があるとすると、気障ったらしく前髪を掻き分けて「ふっ、ウルにそこまで思ってもらえるなんて果報者だね!」とか言っているギュンター・イグナーツくらいだ。
「生首になってどっか行ったと思えば、随分と可愛くなっちゃったじゃないか」
「あ、ありがとう。あなたには負けるわ」
「お世辞まで言えるようになって、いい子いい子してやろう」
「ありがとうございますぅ」
ウルは綾音の隣に腰を下ろすと、親しげに肩を組む。
逃がさないぞ、と完全に捕まえてしまった。
「あいや、待たれよ!」
「……なんだよ、おっさん」
「おっさんではないでござる! 拙者は鳳凰院朱雀丸と申す!」
「名前すげぇ!」
「馬鹿みたいな名前ですね!」
黒いスーツを身につけて挨拶をした鳳凰院朱雀丸に、サムと友也が叫んだ。
彼の名前の響きや、日本人でなければわかるまい。
「馬鹿ではないでござる! 拙者は、メイ殿と、綾音っちと友情の盃を交わしたJapanese ninjaでござる!」
「交わしてねえから! お前、本当に距離詰めてくんな! ぐいぐいきすぎだろう! あ、すみません、なんでもないすぅ」
Japanese ninjaを名乗る三十代のくたびれたサラリーマン風の男は、間違いなく異世界人だろう。
詳細までちゃんと説明されていないが、スノーデン王国で勇者召喚が行われたことをサムたちはフランベルジュから聞いている。
「Japanese ninjaだろうと、勇者だろうと、女神に加担すると言うのなら――殺してやる」
「いやいや、それはこっちのセリフっしょ!」
新たな人物の声が響いた。
サムは魔力を感じて上を見ると、上空に馬鹿でかい火球を作り出し今にも放とうとしている少年がいた。
「女神は僕がぶっ殺す! それが、勇者としての使命なんだよ! 必要な犠牲ってことで、あんたらも死んじまえぇえええええええええええええええええ!」
太陽のような火球がサムたちに、いや、、女神日比谷綾音に向かって迫った。
「……お前、なんで命を狙われているんだ?」
「私が一番知りたいわよ!」
ウルに問われ、綾音が叫んだ。
メイ・リー・リーさんとカリアンの邂逅も!
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