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60「歓迎です」①





 スカイ王国王都の城壁が見える草原に、サミュエル・シャイトたちはいた。

 魔王フランベルジュからもたらされた情報は、女神日比谷綾音がスカイ王国に向かっているということだった。


 ――そして、異世界から召喚された勇者に襲撃を受けて逃亡していることも。


 情報収集を得意としている魔王遠藤友也でさえ手に入れていない情報を、まるで見ているように事細かに伝えてくるフランベルジュだったが、不思議と疑う気にはなれなかったのだ。

 そして、さらに告げた。


 ――日比谷綾音を殺すなら、今が一番の好機である、と。


 だが、彼女は「殺せ」とは言わなかった。

「殺すならば、一番殺しやすい」と言っただけだ。

 サムは考えようとしたが、即行動に移した者がいた。

 言うまでもない。

 ウルリーケ・ウォーカー・ファレルだった。


 ウルはドレスから燃えるような真っ赤な戦闘衣を身につけ、赤い魔力を揺らめかせると獰猛な獣のように歯を剥き出しにして笑った。


「神殺しの時間だぁあああああああああああああああああああああああ!」


 かつて逃した敵と再び合間見ることのできる機会に喜ぶ彼女を止めることができる者は誰一人としていなかった。



 ――そして、現在。


 雪がぱらぱらと降る草原。

 日は上り、朝となった。

 腕を組んで女神を待つウルの背後には、戦闘衣を身につけたサム、ギュンター、デライトがいる。

 魔王からは遠藤友也、日比谷白雪、フランベルジュがいる。

 準魔王からはゾーイ。そして、レプシー、カリアン、モンドもいた。


 キャサリンたちは国王陛下たちを守護し、エヴァンジェリンと竜王一家はスカイ王国の防御を担ってくれるという。

 現在の日比谷綾音と、勇者がどれくらいの力があるかわからないが、想像を超える力ではない限り、スカイ王国をどうこうできないはずだと信じている。


「なあ、サム! 師匠! 変態! わくわくするな! この間は逃した女神が、まさか自分から私に殺されにくるとか親切にもほどがあるだろう! いやー、あの時に殺し損ねたのが、ほら、歯に食べ物が引っかかった感じがしてずっとモヤモヤしていたんだよな! うんうん。これですっきりする!」

「……やだ、俺の師匠蛮族!」

「……可愛い弟子が狂戦士!」

「はははははは! ウルは昔からこんなものじゃないか!」


 昂っているウルにサムたちが苦笑する。


(ウルはいいとして、フランベルジュはなぜ女神がこれからここに現れていることを知っているんだろう? 近づいてきているなら、わかる。だが、俺の魔力探知の範囲に女神はない。ならば――)


「来るぞ」


 サムの思考をフランベルジュの声が邪魔をした。

 次の瞬間、遠藤友也が得意とする『転移』と同じなにかの力が伝わり、三人の男女が現れた。

 三人の内ひとりが姿形は幼くなっているが、女神日比谷綾音だとサムはすぐにわかった。


 彼女たちにとって、この場に来ることは予想外の出来事だたのかもしれない。

 周囲を見まわし、ウルに気づいた。


 ウルはにっこりと満面の笑みを浮かべて大きく腕を広げる。


「いらっしゃーい!」

「ひえっ」


 女神日比谷綾音の怯えようを見て、ちょっとだけ不憫に思ってしまった。






 フランベルジュさんに関しては後々に。


 最新コミック2巻が発売となりました! ぜひお読みいただけますと幸いです!

 コミックウォーカー様、ニコニコ漫画様にて、コミカライズ最新話が公開されておりますのでぜひご覧になってください!

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