54「綾音とメイの友情です」②
「馬鹿、だと!? 俺を馬鹿だというのか!?」
「……いや、馬鹿でしょう。あと絶対、鳳凰院朱雀丸とか本名じゃないでしょう!」
「……さすが女神だ」
「女神関係ないから、あとJapanese ninjaとか舐めてんの!?」
「――っ、まさかあんたはJapan生まれか?」
「なんでいちいちそういう言い方しかできないの? 日本でいいじゃない、日本で」
綾音のツッコミに、鳳凰院は目を大きく見開いた。
「で、あんたは何者なの? 忍者とか言ったら張り倒すからね!」
鳳凰院は降参したように両手を上げた。
「オーケー! 降参だ! 俺もあんたと協力関係を築きたい。だから、情報を共有しよう」
「ぜひそうしてほしいわ」
「まず、鳳凰院朱雀丸は本名ではない」
「でしょうね!」
「――魂の名前だ!」
「知るかっ!」
「そこは大事だから、ちゃんとさせておいてくれ。社会に紛れ込むのに使っているは、鈴田多々二郎」
「……で?」
反応に困る名前だったので、綾音はスルーすることにした。
「俺は冴えないサラリーマンの三十歳だが、ある日、謎の空間に呼ばれてこの世界に勇者として召喚されることとなった」
「……意味わかんない」
「安心しろ、俺もだ! そして、幼少期からの憧れだった「隠密」スキルをもらって」
「女子風呂を覗いたのね」
「おうよ! ――いや、ちげーよ! 俺が覗いたのは、召喚した国の貴族や王族だ。ったく、ひでぇ国だぜ。まあ、そんなわけで忍者として生きていくことを決めた俺だが、役目がある」
「役目?」
「それがあんただ、女神さま。おそらくあんたも召喚された口なんだろう」
「そうね。そんな私をどうするっていうの?」
「さっきも言っただろ、俺はあんたを救いに来た。それが、俺の役割だ」
綾音は考える。
嘘をついているかどうかわからないし、真偽を確かめる手段もない。
とはいえ、自分に気づかれずに小屋に入ってきたことから、間違いなく「隠密」のスキルを持っているのだろう。
(私を救う? どういうこと? まさか私を神にした……あれ? 私を神にしたのは誰? だめだわ、思考がまとまらない。まるで、霞がかかったように)
「綾音? 綾音、どうしましたか?」
「な、なんでもないわ」
ことの成り行きを見守ってくれていたメイ・リー・リーの声に、答えの出ない思考をやめた。
すると、不思議なことに何を考えていたのかどうでもよくなってしまった。
「あの、鳳凰院朱雀丸様」
「魂の名で呼んでくれるのかい?」
「多々二郎様のほうがよろしいですか?」
「いや、鳳凰院朱雀丸と呼んでくれ! それで、なにかなお嬢様?」
「あなたを、勇者召喚した国はどちらですか?」
メイ・リー・リーが伺うように低い声で尋ねた。
鳳凰院朱雀丸は、彼女に対し特に警戒もなく教えてくれた。
「――スノーデン国だ」
綾音さんに関して色々お察しできるかもしれません。
が、しばしお待ちを。
もう1話、女神サイドです。
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