52「祖父はばぶばぶのようです」②
「そ、それで、おばあさま……ばぶばぶおじいさまは現在どうしているのですか? ばぶばぶしているのはわかったのですが、どこにいらっしゃるのでしょうか? 王宮で見かけたことはありませんが」
「夫は王家が持つ土地にひっそりと暮らしてばぶばぶしているわ」
「……まさかおひとりで?」
仮にも前王が、王都におらずひっそり隠居しているとは思わなかった。
だが、前王の影響は良くも悪くもあるだろう。
クライドの治世には、前王の影響がないほうが好ましいと思われる。
「まさか……ばぶばぶはひとりではできないわ」
「あ、はい」
納得しそうになったが、その気になればひとりでばぶばぶできるはずた。
つまり、祖父は女性か男性かわからないが、誰かを相手にばぶばぶしているようだ。
さすがスカイ王家。
常人では発想さえできないことを平気で行う。
「夫は、幼馴染みの女性の――お孫さんと一緒にいるわ」
「まさかの展開!?」
「う、浮気ではないのか? いや、そういうことを王族に言うのもどうなのかとは思うが、うわぁ」
なぜそこで素直に幼馴染みの女性ではいけなかったんだろうか、とサムは悩んだ。
もちろん、答えがでるはずもない。
ゾーイはヘイゼルという妻がいてありなのか、と動揺している。
「幼馴染みの孫はさすがにないな」
「ええ、元婚約者の息子に手を出そうとする方が健全に聞こえます」
「……いや、それはないだろ」
ウルとオフェーリアも、前王ロバートの行動は「なし」のようだ。
「ちなみに、その幼馴染みのお孫さんは女性? 男性? いくつですか?」
「めちゃくちゃ聞くではないか、サムよ」
「一応、おじいちゃんがどのくらいやばいのか後で不意打ちされるよりもちゃんと聞いておこうかと思って」
「……確かに。急だと心臓に悪いものな」
「でしょう?」
「うむ」
サムは覚悟を決めた顔をで祖母に尋ねると、ヘイゼルはなんてことはないように告げた。
「お孫さんは女性で、二十歳の方よ」
「……うわぁ! うわぁ!」
「絵的にまずくね? いや、法律的には問題ないんだろうけど、まずくね?」
「あらあら、そんなことはないわ。だって、今の陛下はあかちゃんだもの」
「――へ?」
サムが硬直した。
いや、サムだけではない。
ゾーイも、ウルも、オフェーリアも意味がわからないと動けずにいる。
「女神エヴァンジェリン様の祝福によって夫は赤ちゃんになり、第二のばぶばぶライフを堪能中よ」
「エヴァンジェリンさぁあああああああああああああああああああああん!?」
サムは、自分の知らないところでちゃっかり祖父と邂逅しているエヴァンジェリンに驚きを隠せなかった。
ロバート・アイル・スカイ「――ばぶばぶしたいので赤ちゃんにしてください」
エヴァンジェリンさん「うわっ、きも!」
ロバート・アイル・スカイ「ばぶばぶばぶばぶばぶばぶばぶ!」
エヴァンジェリンさん「ばぶばぶ連呼すんな! ――いや、まて、こいつの目はとても澄んでいやがる。きっと、変態ではなく純粋な赤ちゃんに……とか言うわけねえだろ! おいこら、あかちゃんをあやすがらがらするもん振り回すな! おい! やめろ! やめろって言ってんだよ!? わかったから、狂った抗議するんじゃねえ!」
後に、一部始終を見ていた霧島薫子は語る。
「……スカイ王家まじやべぇ」
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