51「祖父はばぶばぶのようです」①
(ばぶばぶ……だと? いや、待て。サム、落ち着け。転生者は慌てない。そうだ、陛下がビンビン言って踊り狂う国なんだから、お祖父様がばぶばぶいってもおかしくな――――いや、おかしーからね!)
何気なくばぶばぶと言った祖母はもちろん、ウルとオフェーリアも平然としている。
サムと、そしてゾーイだけがこれでもかと目を見開いて驚愕していた。
ふたりの視線が合う。
サムもゾーイも、ちゃんと驚いている者がいることを安心すると、握手した。
「大袈裟だな、サム。ゾーイ。ばぶばぶなんて、私たちだって生まれた時にやってるだろ」
「一度は通る道ですわ」
「……あれ? おかしいの俺たち? いや、確かにばぶばぶするんだろうけどさ、良い大人になってもやらないよ!?」
「そうだそうだ! ヘイゼルの夫ならもうばぶばぶ言う歳ではないだろう!」
クライドよりも歳を重ねた男性がばぶばぶ言っている姿を想像するには、サムにはまだ経験値が足りなかった。
どのような状況でばぶばぶ言うのだろうか。
語尾か。
それとも、赤ちゃんのようになんかいろいろしているのだろうか。
考えても答えは出ない。
「おじいちゃん……ロバート・アイル・スカイって氷の王って呼ばれてた人だよね? そんな人がばぶばぶとか……賢王クライド・アイル・スカイがビンビンと同じくらい理解できない」
サムが頭を抱えると、懐かしむようにヘイゼルが目を細めた。
「ロバートが氷の王だったというのは本当よ。良くも悪くも冷たい人だったわ。でもね、王となり、ストレスが大きかったので、急にばぶばび言い始めたときはわたくしも、それこそ王宮中が今のサムのようにびっくりしたわ」
「でしょうね!」
当時の人たちはさぞ困っただろう。
「ストレスとは……ヘイゼル、まさか」
「……夫ロバートは、王としても秘密を私に明かすことはなかったわ。でもね、サムが魔王レプシー・ダニエル様を倒した後、教えてくれたの。王家の秘密、墓守としての役目、そして魔王を封印する極度のストレスからばぶばぶになってしまったのだと」
「陛下のビンビンと同じパターンだったぁあああああああああああああああ!」
「ま、まさか、レプシー様がそこまでこの国に影響を与えていたとは! さすがレプシー様! 封印されてもそのカリスマは他の魔王と比べ物にならない!」
「違うよ、ゾーイさん? ここは感心するところじゃないからね! 呆れるところだからね!」
奇しくも、レプシー・ダニエルズの存在はスカイ王家に影響を与えるようだった。
ロバート・アイル・スカイ(サムのじーじ)「レプシー・ダニエルズ殿、あなたはばぶばぶかな?」
レプシーさん「えぇ…………」(ビンビンの時よりも動揺)
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