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49「祖母と挨拶です」①





 会場を抜けたサムとウル、オフェーリア、ゾーイは、王宮の奥にある祖母ヘイゼル・アイル・スカイに挨拶するため、足を運んでいた。


「わざわざ来てくれたのね、ありがとう」

「いいえ、そんな。おばあさまに挨拶するのに、お礼なんて言わないでください。寂しいです」

「まあ。そう言ってくれるのは嬉しいわ」


 品の良い初老の女性であるヘイゼルは、椅子に座ったまま柔らかな微笑みと共にサムたちを迎えてくれた。

 最近、寒さのせいで足腰に痛みを覚えるようになった祖母は、それでも立ちあがって出迎えてくれようとしたが、サムが制したのだ。


「ウルリーケもお久しぶりね」

「大変ご無沙汰しております、ヘイゼル様」

「ふふふ。まさか私の記憶にあるウルよりも可愛らしくなってしまって。あとでアンチエイジングを教えてね」

「……だから、違いますって」


 ウルもヘイゼルには強く出られないようで、借りてきた猫のようにおとなしい。


「オフェーリアも元気そうね。イーディスの娘がサムに嫁ぐことには驚いたのだけど、イーディス本人まで嫁ぐつもりなんて……長く生きているけどひさしぶりにびっくりしたわ」

「は、母がすみません」

「いいのよ。ロイグはクライドを想い行動したけれど、イーディスに関してはちゃんと考えていなかったわ。ですから、オフェーリアはもちろん、イーディスも幸せになってほしいの。もちろん、あなたたち姉妹がいるあの子を不幸などとは微塵も思わないわ。もっと幸せになってほしい、と思っているのよ」

「ヘイゼル様のお言葉を母にも伝えておきます。きっと咽び泣くでしょう」

「ふふふ」


(なんだか、今の話の流れだと……俺とジュラ公爵が結婚するような感じなんだけど、気のせいだよね? ウルが、うわぁ、みたいな顔をしているけど、気のせいだよね?)


 サムが不安を抱くが、ヘイゼルが気づくことはなくゾーイに声をかけた。


「ゾーイちゃんは数日ぶりね」

「うむ。そうだな、ヘイゼルよ」

「そうなの?」


 親しげな祖母とゾーイに、サムたちが驚いた顔をする。


「ふん。なんてことはない。キャサリンに連れられて、合っていたのだ。歳の離れた、そう編み物仲間だ。……教わるのは私の方だが」


 聞けば、ゾーイは否定していたが、不器用なところがあるようで、キャサリンを介してヘイゼルと友好関係を築いていたようだ。

 キャサリンはロイグとクライドの学友だったこともあり、ヘイゼルの覚えもよく、気にかけていたらしい。

 表舞台から引退したヘイゼルだが、最近は貴族の子女との交流がある。だが、明け透けに接することができる相手がいた方がいいだろうと考えたらしい。


「ゾーイ、ありがとう。おばさまと仲良くしてくれて」

「ふん。私にとっては年下の可愛らしい女だ。妹分くらいにはしてやろう!」


 そう言って平らな胸を張ったゾーイに、ヘイゼルは「あらあら、嬉しいわ」と微笑んだのだった。






 ゾーイさん「待て、ヘイゼル・アイル・スカイは初老なのだろう? そのような格好で会ったら、心臓が止まってしまうのではないか?」

 キャサリンさん「あらあら、まあまあ。ゾーイちゃんったらお姉さんの魔法少女姿を独り占めしたいのねん」

 ゾーイさん「誰がそんなことを言ったっ!」


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