48「綾音とメイのキャンプですか?」③
「いえ、資格だなんて……私にそんなこと言う権利はありませんね」
「ちょっと、メイ・リー・リーさん?」
「カリアン様をお支えできるのは、女神様かもしれません」
「だからなんで!? 言っておくけど、カリアン様は素敵なイケおじで人格者だけど、私はめっちゃ恨まれてるからね! 私がなんかしたわけじゃないけど、ストーカー野郎が私の復活にいろいろやりたい放題だったからその皺寄せがこっちにきてんの! その筆頭がカリアン様じゃない!」
「……きっとメス奴隷としてご奉仕すれば」
「ねーよ! それはあんたの願望でしょう!」
「そうだ! スカイ王国に行きましょう!」
「嫌だよ! あの国、変態だらけなんだよ!? 私も勇者時代にクソみたいな理不尽な国で生きていたけど、スカイ王国は違った意味でそれ以上だよ!?」
なにかスイッチの入ってしまったメイ・リー・リーに対し、綾音は焦る。
スカイ王国には自分を殺しかけた、ウルリーケ・ウォーカー・ファレルがいるのだ。
あの時の炎の熱さと痛みは鮮明に覚えている。
力がごっそり失ったのも、彼女の攻撃に対して「全力で死なないことを優先した」からだ。
「変態だけでもおっかないのに、戦力的にもおっかない国になんて行きたくないわよ!」
「カリアン様がいます!」
「さすがのカリアン様だって私のことは守ってくれないからね!」
メイ・リー・リーが元気になったのは素直に喜ばしいが、肉を食べさせすぎたせいか、滾ってしまい困る。
カリアンを戦力的に脅威とは思わないが、彼のような人間は、親しい者にも隠している力や手段を持っている。経験的にそうだ。
ウルリーケはもちろん、元魔王レプシー、サミュエル・シャイトまでいるのだ。
サムには興味があるが、怖くて近づけない。
「はぁぁぁ。ウルリーケが死んだのだって、私のせいじゃないのに」
「おや? ですが、あなたの器になるために病が進行したのではないのですか?」
「前提から違うのよ! 病にかかるほどやべー肉体の持ち主だから私の器にちょうどいいのよ! 別に私が病にしたわけじゃ……あ、ちょっと待って」
「……やはりぶっ飛ばされても仕方がないようななにかをしているのですか?」
「…………」
綾音はしばらく沈黙すると、
「妹に封じられる時に、呪いを吐き出したんだけど……もしかしたら、その時の言葉が病を生み出した可能性があるかなーなんて。通りで私に都合のいい病気だなって思っていたのよね。あーなるほどなるほど。これ、謝ったら許してくれるかしら?」
「一度死んでいるから難しいのではないでしょうか」
「ほ、ほら、でも口調から死んで生き返ったようなこと言っていたから、ノーカン! ノーカン!」
「……一緒に謝りに行きましょう」
「うん。ありがとう――って、だからスカイ王国行かねええって言ってるじゃん! 私はここでずっとソロキャンするんだ!」
「女神的にそれはありなんですか?」
「いや、マジで……全盛期の勢いがないのよ。魔族を気持ち悪いとか思っていたけど、今はそういう嫌悪無いし、むしろ、どちらかっていうと人間の方が嫌いなのよねぇ」
「……過去に散々、魔族を迫害し殺してきたのに」
「待って、本当に待って、――なんでそんなことをしようとしたのかさえ、思い出せない。どういうこと?」
「ボケちゃいましたか?」
「女神はボケないから! いや、わかんないけど! 昔のことを鮮明に思い出せるのに、その時自分が何を考えて何を思っていたのかわからないか、やばくない?」
綾音の疑問に、メイ・リー・リーは答えることはできない。
大きな不安を抱えた綾音は、とりあえず、見事釣り上げた主をメイ・リー・リーに自慢することに決めた。
綾音さん「考えてもしょうがないしね!」
メイさん「割り切り良すぎません?」
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