47「綾音とメイのキャンプですか?」②
食事を終えたメイ・リー・リーだが、すぐに体力が戻ってくるわけではない。
しばらくの休息が求められているのだろう、眠気が押し寄せてくる。
「……女神様」
「なによ?」
「ごちそうさまでした」
「ふふん。崇めていいのよ」
「いえ、私はカリアン様しか崇めませんので」
「あ、はい」
「すみませんが、まだ回復していないので少し休ませていただきます」
「そうしなさい」
綾音がそう言うと、メイ・リー・リーは横になりすぐに寝息を立てる。
その間に、夕食は何にしようかしら、と綾音は考える。
鹿肉はあるが、保存が効く。
ならば、凍っていない川と湖を見つけたので、釣りもいい。
すでに釣竿は作ってある。
勇者時代、大魚を逃したことがある綾音は次こそはとチャンスを伺っていたが、勇者として殺し合いに忙しく、次はなかった。
「ふふっ。今になってサバイバルとか、面白くなってきたわね。でも――不愉快でもあるわ」
小屋に近づく気配を感じ取り、綾音は眉間にシワを寄せた。
「いつの時代でも、どこでも、人間って本当に救いようのない屑よね。勇者だなんだとか私を崇めていた奴らも、裏では道具扱いだったもの」
過去を思い出し、不愉快な感情を思い出す。
だが、綾音は切り替えた。
おそらく盗賊の集落を壊滅させたことで、繋がりのある他の盗賊が綾音たちの存在を知ったのだろう。
「はぁ。まったく、自分から餌になりにくるとか――バカな奴ら」
■
メイ・リー・リーが再び目を覚ますと、焚き火を挟んだ反対側でまるで愛用の剣でも磨くように釣竿を磨く綾音の姿があった。
「女神様?」
「あら、起きたのね。まったく、もう少し早く起きていれば、私の川の主の壮絶な戦いを特等席で見ることができたのに、運の悪い子」
「川の主?」
「そうよ! 釣竿一本で戦い、見事主を釣り上げたわ! しっかり、血抜きして内臓処理したから、雪の中で凍らせているわ。おそらく鱒だから、美味しいわよ!」
「……楽しそうで何よりです」
「最高に楽しいわ!」
笑顔の綾音に、力を取り戻すにあたってなにをしたのか、と聞く気にはなれなかった。
命の恩人であると同時に、綾音から悪意をまるで感じないのだ。
サミュエル・シャイトたちとの戦いを見ていたが、その時の狂気や残酷性は今の綾音にはない。
隠しているとも思えない。
思い返せば、神聖ディザイア国に綾音を連れてきてから、彼女が何か悪さをしたことはない。
せいぜい変質者をひとり排除しただけであり、むしろ、賞賛できる。
肉体を手に入れてからも、メイ・リー・リーの言い付けを守り部屋で大人しくしていた。
「――ならば認めましょう」
「なにを?」
「女神様も私と一緒にカリアン様に嫁ぐ資格があることを!」
「え? なんで? 本当になんで?」
カリアンさん「いえ、結構ですから。いえ、本当に、フリじゃなくて、本当に結構ですから!」
もっと本格的なこと書いて「異世キャン!」とかしたい☆
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