55「彼女もついにデビューです」②
ちゃんと『女の子』な魔法少女ゾーイの登場に、会場の面々は満足だった。
サムとしても、ようやく魔法少女を見ることができてホッとして拍手を送っている。
「――ゾーイも立派になったね」
いつの間にかサムの隣にいたレプシーがハンカチで目元を押さえ、ゾーイの晴れ舞台に感動していた。
「……レプシー……お前、あれを見て立派とか言っちゃうのか?」
「はははは、辛口だね、ウル」
信じられない、と目を丸くするウルにレプシーが苦笑いを浮べた。
「ゾーイはね、かつての僕もそうだけど元人間ということもあり人間には嫌気がさしていてね。復讐に走ったことは後悔していないが、妹のように思っていた彼女がどうなっていくのか心配ではあったんだ。しかし、見てごらん」
「立派な魔法少女になったな」
「う、うん。それはそれとして、人付き合いが不得意だったゾーイが、あんなに楽しそうにしている。恋もしたようだ。妹の大きな成長に、兄として喜ばしいよ」
「……楽しそう? 涙目で変態どもから逃げ回っているんだが? もしかして、お前の目は節穴なんじゃないか?」
ゾーイのことを案じていたレプシーは、今のゾーイを見て満足していた。
対してウルは、辛口だった。
(――でも、確かにレプシーの言う通りかもしれないな)
サムが初めてゾーイと会った時、彼女の目には敵意と嫌悪があった。
生来の面倒見の良さこそちゃんと見えていたが、彼女はサムだけではなく、人間に、いや、他の魔族たちにも距離があった。
例外が、ヴィヴィアンこと白雪と、遠藤友也くらいだ。
(だけど……すっかり馴染んだなぁ)
半年もスカイ王国にいないゾーイであるが、魔法少女キャサリンとは一家の友人として親しくしているし、ウォーカー伯爵家の面々とも親しい。特に、胃痛を悩むジョナサンには、時々胃薬を差し入れしたり、一緒に酒を飲んだりもしている。
同じ聖女である薫子の相談に乗ることもあるし、敵対勢力だったマクナマラと一瞬で打ち解け酒飲み仲間になっている。
ウルともガチバトルをして認め合う仲だ。
そして、暴走するクライド・アイル・スカイに物理的にツッコミを入れることができる数少ない人物としてイグナーツ公爵をはじめ、常識的な貴族からは『天使』として扱われている。
サムが魔王レプシーを倒し、魔王や準魔王と邂逅したときはどうなるかと不安だったが、まさか現在のように笑顔の絶えない日々が訪れるとは思っていなかった。
色々な意味で予想の斜め上だった。
「さて、可愛らしいゾーイちゃんとの握手会はあとで儲けるから、皆さん落ち着いてちょうだいねん」
「おい、こら! 握手会なんぞ聞いてないぞ!」
「ちゃーんと、ミシャちゃんとレスリーちゃんも握手会に参加するからお楽しみにねんっ」
「話を聞け! あと、ウインクするな!」
この場は、キャサリンの独壇場だ。
必死にスカートを押さえながら、顔を真っ赤にするゾーイは、ただただ可愛いだけだった。
「では、最後の魔法少女をふたり――ご紹介するわ」
「まだいるのか!? 私は知らないぞ? 誰だ!?」
ゾーイの叫びに、誰もが同意し、ざわめきが上がる。
にんまりしているキャサリンを見る限り、彼女だけが知っているようだ。
「では、ご紹介しましょう!」
ぱちん、と指を鳴らすとドラムロールが始まった。
「サミュエル・シャイトちゃん! ウルリーケ・ウォーカー・ファレルちゃん! 今日からあなたたちも魔法少女よん!」
「はぁあああああああああああああああああああああああああああああ!?」
少女になったウルをキャサリンが放っておくはずがないのです。
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