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間話「女神の存在です」②





 執務室を兼用している宿舎に足を運んでいたメイ・リー・リーは、ゲンゲと話をするために大聖堂の空き部屋に移動した。


「おやおや、どうやらメイ・リー・リー枢機卿様には警戒されてしまったようですな」

「警戒などしていません。ゲンゲ殿のお力では、逆立ちしたところで私になにもできないでしょう」

「そうですな。しかし、強ければいいというわけではないのです。私は商人を通じて情報という力を持っています」

「……なるほど。いいでしょう、聞きましょう」

「ええ、では――女神が復活したことはご存じですかな?」


 メイ・リー・リーはあえてなにも反応しなかった。

 ゲンゲの言わんとしていることがあまり理解できなかったからだ。

 女神復活を目的に動いていた教皇の存在を知ったのか、それとも部屋に置いてある女神の生首のことを差しているのか不明だ。

 勿体ぶった言い方をする男に、苛立ちを覚える。

 そんなメイ・リー・リーの沈黙を、ゲンゲは都合よく動揺と受け取ったようだ。


「失踪したカリアン・ショーン枢機卿、モンド・ムンド枢機卿は秘密裏に女神復活を企み動いていたようです。我々の悲願をなぜ彼らが秘密裏に行っていたのか疑問ではありますが……結果としてその試みは成功したようです」

「――ほう」


 メイ・リー・リーは内心、ここでゲンゲを殺すかどうか考える。

 貧しい国で、肥えた男がどれだけ民を虐げているのか知っている。

 カリアン以外にはあまり興味がないメイ・リー・リーではあるが、カリアンとムンドが消えた後も孤児院の支援は続けている。とはいえ、カリアンとモンド両名の盟友である枢機卿が支援者として表立って動いているので、メイ・リー・リーにすることはあまりない。

 孤児院出身のメイ・リー・リーは、幼少期にカリアンに拾われなければ死んでいただろう。

 そのことを理解しているからこそ、ゲンゲのような人間は嫌いだ。

 しかし、ここで殺してもメリットはないので堪える。


「カリアン・ショーン枢機卿とモンド・ムンド枢機卿……いえ、裏切り者のカリアンとムンドはあろうことか遠く離れた異国で女神を祀っているようです。これは背信行為だ!」

「はて?」


 おかしい、とメイ・リー・リーは首を傾げる。

 女神の首は、自身の手によって保護し、部屋に置いてある。

 首から下は、過激が少女によって焼却されているため回収はできなかった。

 だというのに、なぜカリアンが他国で女神を祀っているという話になるのかわからない。


「あなたもさぞ驚きでしょう。私も同じでした。女神が復活してくだされば、その威光を掲げ、魔族たちを蹂躙し、大陸統一も夢ではないというのに!」


(――それは無理でしょう。あの女神にそれだけの力があるのなら、私はすでにカリアン様と結婚しているはず)


「しかも、女神を祀るのは――あのスカイ王国だというのです!」

「……続けてください」

「カリアンとモンドはどういう経緯があったか不明ですが、スカイ王国に亡命し、復活した女神のもとで司祭として働いているとか……貧しい我が国を裏切ったのです!」

「……私にどうしろと」


 情報が誤っている気がするが、カリアンとモンドがスカイ王国のいることは間違いない。

 そろそろゲンゲとの会話も飽きたので、彼の言いたいことを尋ねた。

 すると、彼は唇を吊り上げ、醜悪に笑った。


「私は枢機卿となり、女神奪還作戦を行いたいのです。そのためには、まず枢機卿にならねばなりません。枢機卿の半分は金と物資で味方にしましたが、まだ絶対ではない。そこで、あなただ」

「私にはなにをしてくださるのでしょうか?」

「無欲なあなたに正直これと言って提示できるものがありません。その代わり、あなたを裏切りひとりで逃げたカリアン・ショーンの首を差し上げましょう」

「…………」

「私は気づいているのですよ。あなたがカリアンを女として慕っていることに。だが、奴はあなたを置いて行った。ひどい男です」

「……いいでしょう。興味はありませんが、あなたを推薦するひとりとなりましょう」

「――ありがとうございます」

「ところで、スカイ王国で祀られている女神の名はご存じですか?」

「はい。女神の名を口にするのは畏れ多いのですが、お伝えします」


 やはりゲンゲは勿体ぶるように言った。




「エヴァンジェリン・アラヒー」







エヴァンジェリンさん「おい、嘘だろ!」


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コレはいわゆるとばっちり?(笑)
[一言] 流れ弾に当たる女神様w
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