間話「女神の存在です」①
――神聖ディザイア国。
大聖堂でカリアンへの祈りを捧げたメイ・リー・リーは、涙を流すシスターたちに囲まれていた。
「あの、リー枢機卿様……カリアン枢機卿様に続き、モンド・ムンド枢機卿までお隠れになてしまいました」
「はい。存じています」
「モンド様は神聖ディザイア国にとって太陽のような方です。あのお方がいなくなった我が国に未来はあるのでしょうか?」
この場にいるシスターたちは『モンド・ムンド派』に所属する者たちだ。
純粋に慕っている者、崇拝している者、過去に振られたが諦めていない者、それぞれである。
カリアン・ショーンのおかげで、聖女だろうとシスターだろうと結婚は可能となっている。そのため、敬虔なシスターたちも恋には積極的だった。
カリアンも人気が高いが、メイ・リー・リーのようにお嫁さんになることを夢見ている者は少数派だ。亡き聖女様を未だ愛し続けるカリアンを見守りたいという一派が大多数であった。
対し、モンドは国のために尽くしている彼を支えた派が大多数だが、その中に妻として支えたい派と、母として支えたい派、妹として支えたい派、姉として支えたい派がいる。
これだけを聞けば、とある元魔王の少年は「いや、お前らめっちゃスカイ王国じゃん。スカイ王国の民の適正高すぎぃ!」と叫ぶかもしれないが、それは誤解だ。
神聖ディザイア国にも、スカイ王国の変化は伝わってきている。
賢王と名高いクライド・アイル・スカイが最強の魔王レプシー・ダニエルズを倒した代償に『壊れた』ということや、スカイ王国を代表する変態を超える若き変態が現れたという話が届いている。
だが、メイ・リー・リーをはじめ、シスターたちはなにも興味を覚えない。
なぜなら、彼女たちは変態ではない。
あくまでも純粋な愛を抱く女性たちなのだから。
「いくつか情報が入って来ています。詳細は明日の会議で話しましょう」
「ありがとうございます」
「いつものように代表者の時間を作っておいてください」
「承知しました」
「では、私は仕事に戻ります。あなたたちも仕事へ」
「はい!」
シスターたちと別れ、書類の束を部屋に持っていこうとしたメイ・リー・リーを呼び止める声が響いた。
「これはこれはメイ・リー・リー枢機卿様」
「…………ゲンゲ殿」
メイ・リー・リーにゲンゲと呼ばれたのは、四十ほどの小太りの男だった。
カリアンとモンドが神聖ディザイア国から消えたことをきかっけに、彼らが離反者であり、反逆者であると叫んだ者がいたが、そのひとりだ。
とくにこのゲンゲは空席となった枢機卿に立候補してもいる。
神聖ディザイア国において、地位と権力を求める者は、国と民のために尽くそうとするか、私利私欲のためかのどちらかだが、ゲンゲは後者である。
「そう警戒されると悲しくありますな。私はメイ・リー・リー枢機卿様に良い情報をお持ちしたのですが」
「……御宅は良いので、言いたいことがあるのならさっさといいなさい。私は暇ではありません」
「つれないお方だ。では――女神が復活している話はご存じですか?」
「――詳しく話しなさい」
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