52「デビューです」②
ドミニク・キャサリン・ジョンストン宮廷魔法少女は、建国時から王家を支えた優れた魔法少女であり、代々魔法少女を輩出してきた一族だ。
歴代魔法少女はもちろん、魔法少女にならずとも優れた魔法使いが過去にもおり、時代によっては宮廷魔法少女と共にジョンストン家から宮廷魔法使いが選ばれたことがある。
スカイ王国のジョンストン一族あり、と諸外国では恐れられているほど、愛と正義と強さを持つ一族だった。
そんなジョンストン家の当主であるキャサリンは悩んでいた。
――彼女の悩みは後継者だった。
魔法少女は、娘が継いでくれることになっている。不満はない。自分と系統は違うが、魔法少女としてやっていける素質を十分に持っている。
だが、これでいいのか、と思ってしまうのだ。
魔法少女は代々ひとりだ。
魔法少女こそがジョンストン家の当主となり、愛と平和のために戦う。
――しかし、それでいいのか、と思う。
初代は規格外の強さだったようだが、キャサリンが規格外かと尋ねられれば、否である。
サミュエル・シャイトのような規格外な魔力やスキルを持たず、ギュンター・イギュナーツのような強固な結界術も持たず、ウルリーケ・シャイト・ウォーカーのような高火力も持っていない。
あくまでもステッキで戦うかわいいお姉さんでしかないのだ。
不変であることはいいことだが、時代と共に変化していくことも大事だと思う。
そんな悩みを抱いている時、運命の出会い果たした。
ミシャ・ファレルという、別世界に転生したウルの父親であり、聖女である。しかも三十代でありながら、少女のように可愛らしい。
――まさに魔法少女にふさわしかった。
ミシャはこちらの世界に来たばかりであり、仕事がなく、家長として不安を抱いているのがわかった。
ウルならばすぐに宮廷魔法使いに戻ることができ、伯爵位を得るだろうが、親として娘におんぶに抱っこをよしとしないのは同じ親として理解できる。
ならば、手を差し伸べるのが正しき魔法少女であり、誇り高きスカイ王国の貴族だ。
「皆さん、お出迎えありがとう」
ばちーんっ、とウインクをしたキャサリンは、会場に入らず廊下で初々しく照れているミシャに微笑む。
「今日はお姉さんの……いいえ、宮廷魔法少女キャサリンに次ぐ新たな魔法少女を紹介しようと思うのよ」
会場にいる誰もがざわめいている。
無理もない。魔法少女が増えることなど前代未聞なのだから。
「彼は、回復魔法の使い手であり、性格的には優しいので戦わせたくないのだけど、戦闘面でも秀でた人材よ。さあ、お入りなさい。――ミシャ・ファレル!」
緑と白が綺麗にあしらわれた魔法少女の衣装を身につけた、異世界の聖女ミシャ・ファレルがプルプルと真っ赤になって震えながら、会場に降臨した。
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