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時の虜  作者: 古都麿
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第5話 宰相の苦悩

ビリビリビリ……

陛下からの呼び出しベル。


コンコン

「失礼致します。お呼びでしょうか、陛下」

「あぁ、さっき婚約の儀を済ませてきた」

へ?

「それで、対外的な、形だけのやつ、手っ取り早く済ませたいんだが」

また無茶振りを。

「仰っている意味がよくわかりませんが、婚約の儀は対外的に正式な儀式ですので、形だけのやつというのはございませんが」

「実質がないんだから形だけだろ」

「陛下がおっしゃる実質というのは?」

「俺の異能の一部を詩織に授けた」

このお方はまたなんてことしてるんですか。

「婚約の儀とはそういうものなんですか?」

「他に何がある?」

私の常識は通用しないらしい。

「形だけとはもうしましても、会場、日取り、招待客、お食事などなど、準備には時間がかかるものでして」

「いつならできる?」

「通常なら半年以上かけて準備するもので……」

「通常はどうでもいい、いつならできる?」

「早急に詰めて参ります」

関係各所と調整するために足早に陛下の執務室を後にしようとしたところ。

「宰相、いつも無茶振りして悪いな」

陛下はこういう人だから憎めないんですよね。

「いえ、もう慣れました」

今日も残業かぁ〜


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